ほろうみの正解するポジ

投資の立ち位置を正しく理解するための記録╭( ・ㅂ・)و ̑̑ グッ !

2023年3月10日の週_SVB破綻からのネガティブインパクト

3月9日にSVB(シリコンバレーバンク)の突然の一部資産売却発表、それを受けての破綻不安からの取り付け騒ぎ、10日深夜に事実上破綻と目まぐるしく動いた。
このニュースを受けて、すでにピークアウトの兆しが出ていた世界の金融セクターがさらに急落した。


財務省預金保護意向で取り付け騒ぎは沈静化しそうだが、13日の日本市場の低調な始まりを見ると信用不安の解消には時間がかかりそうだ。

金利変動への対処を誤ったことによる資産売却アクションから、速攻で取り付け騒ぎを起こしてしまった金融工学のインテリジェンスへの失望感と、一晩で景色が変わってしまう蓋然性を喚起してしまったネガティブインパクトは大きい。

 

 

 

チェック事項

  • ロシアのウクライナ侵攻から1年経過
  • 4月から電力料金の値上げ
  • コロナ禍のゼロゼロ融資の返済が本格化
  • 物価高でインフラ工事不成立が増加
  • TOPIX指数が±10%のボックス相場
  • SVB破綻からの金融セクター全体への懸念

 

キーワード

熊本TSMC、技能職人材不足、IT人材不足、スキルのミスマッチ、技能実習生、人的資本開示、中古車、自動車アフターマーケット、車載半導体、老朽化マンション、クレーンゲーム、電力問題、新興国の社会情勢、サプライチェーン、エアコン、フロンガス規制、オウンドメディア、物流2024年問題、建設業2024年問題、チャットGPT、人手不足倒産、価格決定力の優位性、漬物クライシス、ウクライナの土壌汚染

 

2023年度のトレード方針

  • キャッシュ比率は状況に応じて資産の1割~4割の間でコントロール
  • 資産の1割の範囲内でショートトレード&実験トレード
  • 100円~150円のレンジを越えてくる事態になれば一段と強い警戒モードに
  • 自分がショートしやすいと思った銘柄は他の人もそう思っているのでプレミアムがないと想定しておく

 

2023年銘柄選別基準

  • 将来的にROE30%超(製造業は15%超)が期待できるか?
  • すでにROE30%超(製造業は15%超)の銘柄はそれを継続することができるか?
  • 直近EPSの10倍以上の成長余地はあるか?
  • 直近売上の10倍以上の成長余地はあるか?(成長株のみ)
  • トップラインで2割超成長を継続可能か?(成長株のみ)
  • 1人あたりの売上を維持つつ従業員数を増やしているか?
  • 一時的なネガティブ要因(グリッチ)で評価が下がっているか?
  • 非連続の成長期待要因(カタリスト)が株価に反映されていないか?
  • マクロの逆境下でも根を伸ばし続けて強靭になれるイメージがあるか?
  • 経営者のバランス感覚を評価する。ポジティブ100%の経営者は外す

 

みずほリサーチ&テクノロジーズ : みずほ経済・金融ウィークリー(2023年3月7日号)

米国:自動車販売は依然コロナ前水準を下回る動き、今後も回復は緩やかと予想
住宅販売は増加も金利高により先行きは楽観できず
欧州:コア物価は加速が継続。賃金インフレのリスクも存在
中国:企業の景況感は引き続き改善。サービス消費主導で景気回復の方向
2023年成長率目標は「+5.0%前後」。李強氏を後任総理に選出へ
日本:生産は、資本財や生産財中心に弱い動きが続く見通し
製造業・中小企業を中心に2020年末以来の減益
企業の中長期的な期待成長率や設備投資・雇用見通しが改善
食料・サービス物価の値上げは継続。コアCPIは電気代緩和策で鈍化
金融市場:日本のソブリン格付けに日銀の金融政策が及ぼす影響

 

 

実質賃金4.1%減、1月で過去最大の下落 物価高響く - 日本経済新聞

厚生労働省が7日発表した1月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上の事業所)によると、1人当たりの賃金は物価変動を考慮した実質で前年同月比4.1%減った。10カ月連続の減少で、1月としては遡れる1991年以降で過去最大の減少幅だった。物価上昇が歴史的な水準に達し、賃金の伸びが追いつかない状況が続いている。

実質賃金の下落率は消費税率引き上げ直後の2014年5月(4.1%減)以来、8年8カ月ぶり...

 

「穀物の低在庫2〜3年続く」 ファンド運用大手に聞く - 日本経済新聞

ロシアによるウクライナ侵攻から1年、食料危機の火種がくすぶり続けている。農業関連株ファンドを運用するラザード・アセット・マネージメントのテレンス・ブレナン氏は「穀物の低在庫は2〜3年続く」と指摘する。足元の穀物価格は落ち着いているが、低在庫に肥料不足が重なり食料価格が上昇圧力をうけやすい局面は今後も続く可能性がある。

――侵攻は農業や食料価格にどう影響しましたか。

 

米労働市場ついに減速の兆し 求人サイトが示唆 - WSJ

米労働需要についに減速の兆しが表れている。政府統計は労働市場の過熱を示しているが、民間セクターの求人件数データには鈍化が見られる。

求人サイト運営大手ジップリクルーターリクルートホールディングスのデータによると、両社のサイトに掲載された昨年終盤の求人広告数の減少幅は、米労働省が発表した同期間の求人件数の減少幅よりも大きかった。両社のリポートによると、求人件数は今年に入ってさらに減少している。今週発表される労働省の雇用動態調査(JOLTS)でも求人件数が減少し、今年の雇用減速が明らかになる可能性がある。

両社の株価は、期待はずれの決算を受けて足元で下落している。

 

高ROIC銘柄は「花の山」、YCC終了でも底力発揮の有望株大選抜 <株探トップ特集> | 特集 - 株探ニュース

教科書的には金利上昇は株安要因だ。例えばDCF(ディスカウントキャッシュフロー)法では、企業の将来の各年度におけるフリーキャッシュフロー(FCF)を「割引率」で割り引いて「現在価値」に置き換え、それらを足し合わせた企業価値をもとに理論株価を算出する。

割引率は加重平均資本コスト(WACC)とも呼ばれる。金利上昇はWACCの上昇につながり、企業価値を低下させる。日本板硝子 <5202> [東証P]と味の素 <2802> [東証P]が直近で海外事業の資産に関する減損損失の計上に動いたのも、このロジックによるものだ。

また、実際に計算すると分かりやすいのだが、FCFが急拡大すると期待されるグロース企業と、FCFが一定と見込まれる企業を比較すると、WACCの上昇による企業価値の低下の度合いは計算上、前者のほうが大きくなってしまう。米長期金利の上昇で米ハイテク株が売られる理由のひとつとなっている。

ROEの欠点をカバーするROIC

 経営効率性の代表的な尺度であるROE自己資本利益率)は、負債を増やし、財務レバレッジを高めることによっても理論上は上昇する。高ROE銘柄でも有利子負債が積みあがれば、金利上昇時に財務が悪化するリスクが高まることとなる。

こうした欠点を補うのがROICだ。一般に株主資本(あるいは自己資本)と有利子負債を足した「投下資本」を分母とし、「NOPAT(税引き後営業利益)」を分子として算出する。

簡易的な算出方法として現在、個人投資家を中心に活用されているのが、以下のような手法のようだ。NOPATは、決算が日本基準の場合、営業利益から法人税等合計額(いずれも前期の1年間の実績値)を引いた値とする。分母は直近四半期末時点の有利子負債(借入金や社債コマーシャルペーパーなどの合計)と、自己資本(株主資本とその他の包括利益累計額の和)を足したものとする――。

市中金利が上昇すれば理論上は有利子負債が膨らみ、分母の増加を伴ってROICは低下する。また、ROICがWACCを上回る水準にあれば、企業価値は創造されることとなる。とすれば、WACCの上昇が「痛み」をもたらさないレベルまでROICが高水準にあれば、金利上昇時にも企業価値を高め続けることができ、株価の上昇も期待できるようになる。ちなみにWACCは日本企業では7%以上が目安とされているようだ。

生命保険協会による「企業価値向上に向けた取り組みに関するアンケート調査(2021年度版)」によると、中期経営計画や経営目標として重視すべき指標(複数選択)のうち、ROICを挙げる投資家の割合は46%となった一方、目標として公表する企業の割合は13%にとどまっており、大きな開きがある。

 

セブン&アイ、イトーヨーカ堂店舗2割削減 アパレルは撤退 - 日本経済新聞

セブン&アイ・ホールディングスは9日、総合スーパー、イトーヨーカ堂の店舗を2026年2月末までに2割超削減すると発表した。グループ発祥のアパレル事業からは完全撤退する。ヨーカ堂は22年2月期まで2期連続で最終赤字を計上した。米ファンドなど一部株主は低収益のヨーカ堂事業の撤退・売却を求めているが、コンビニエンスストアと両軸で食品販売を支える事業としてグループにとどめる。

 

鉄スクラップ4%高 3月輸出入札、トルコの需要増観測で - 日本経済新聞

電炉メーカーの主原料となる鉄スクラップの輸出価格が3カ月連続で上昇した。鉄スクラップ事業者でつくる関東鉄源協同組合(東京・大田)が9日実施した3月契約分の輸出入札の平均落札価格は1トン5万5438円と、前月に比べ2076円(4%)高い。震災のあったトルコの需要が戻るとの見方が広がった。

世界最大の鉄スクラップ輸入国であるトルコでは、2月に大規模な地震が起きた。「トルコが震災復興のために鉄スクラッ...

 

イランとサウジアラビア、外交正常化で合意 中国が仲介 - 日本経済新聞

【ドバイ=福冨隼太郎】イランとサウジアラビアの国営メディアは10日、両国政府が2カ月以内に外交を正常化し、双方の大使館を再開することで合意したと伝えた。中国が両国を仲介した。中東の緊張緩和につながると期待される。中国主導による中東の大国の和解実現は米国の指導力低下を印象づけ、長期的には世界秩序を揺さぶるリスクとなりかねない。

イラン国営通信によると、両国は中国の仲介のもとで北京で協議を開いた。イ...

 

銀行株メルトダウン、ウォール街で人気取引に痛手-業界常識に疑問符 - Bloomberg

過去40年間で最も激しい利上げサイクルを乗り切ろうと金融株を積み増してきた株式投資家は、急激な金利上昇が必ずしも好ましくないことを思い知らされている。

大幅な金利上昇局面での銀行株保有ウォール街の常識だ。金利が上がれば金利収入が増え、金融機関の利益にプラスに働くことが多いためだ。

だがその目算が狂いつつある。短期金融市場の金利急上昇で預金者は他のより有利な資金活用に向かう一方、銀行は保有債券で損失を抱える事態に陥っている。銀行がこれらの債券の売りを迫られることを投資家は今や懸念している。

2022年の弱気相場ではちょっとした逃避先になっていた金融株だが、今回は深刻な打撃を受けている。金融株は9日、連鎖的な下げで落ち込んだ。このセクターはミューチュアルファンドの間で今年最も人気の投資先の一つだ。

9日の値下がりはミューチュアルファンド運用者に痛手となりそうだ。ゴールドマン・サックス・グループの調査によると、この業界の金融株保有は年初時点で、指標の指数に基づく組み入れ比率より平均1.38ポイント高かった。

デービッド・コスティン氏らゴールドマンのストラテジストが集計したデータによると、金融分野をアンダーウエートにしていることが多かったヘッジファンドでさえ、ウェルズ・ファーゴがトップピックの一つだ。9日に同銘柄は4日続落し、6%余り下げた。

株安のきっかけは2つの小規模な銀行で悪いニュースが重なったことだ。シリコンバレーを中心に事業を展開する銀行持ち株会社SVBファイナンシャル・グループは流動性への対応で証券売却と資本増強に動いた。一方、暗号資産(仮想通貨)業界の苦境を受け経営難に陥っている銀行持ち株会社シルバーゲート・キャピタルは銀行業務を縮小し、清算する計画を明らかにしている。

 

銀行株、アジア市場でも下落-米時間はSVB60%安で下降気流 - Bloomberg

米銀行株が下落した流れを引き継ぎ、アジアの銀行株は10日の取引で軒並み下げた。米銀行持ち株会社SVBファイナンシャル・グループで生じた問題の兆候が金融セクター全体のリスクにつながるとの懸念が広がった。

MSCIアジア太平洋指数で金融株指数は一時1.6%下げて1月3日以来の安値を付けた。三菱UFJフィナンシャル・グループは一時3.3%安、豪オーストラリア・コモンウェルス銀行(CBA)と韓国のKBフィナンシャルグループもともに一時2.7%下げた。

ただアジアの銀行株の下げは約3年ぶりの大幅安となった米銀行株ほどではない。9日の米株式市場では金利高の影響を巡る懸念が銀行株の重しとなった。

KBW銀行株指数は7.7%安と、2020年6月以来の大幅な下げ。証券ポートフォリオの損失を受け資本増強策を講じたSVBファイナンシャル・グループが60%安と上場来最大の下落率を記録し、同指数で最も下げた。バンク・オブ・アメリカ(BofA)やウェルズ・ファーゴ、JPモルガン・チェースがいずれも少なくとも5%下げた。

金利の間にローンや他の投資を積み上げてきた銀行では、米金融当局が利上げを進める中でこれら資産の価値の低下が見られている。同時に預金流出阻止でより強力な対抗策を打ち出す必要があり、顧客引き留めで支出を増やさざるを得ない。預金者への支払いに充てるため低利回り資産の一部を大幅な値引き価格で売却せざるを得ないケースもある。小規模な地銀にとって預金減少は深刻で収益性に大きく影響しかねない。

センチメントの悪化に追い打ちを掛けているのが銀行持ち株会社シルバーゲート・キャピタルだ。暗号資産(仮想通貨)業界の苦境を受け経営難に陥っている同社は銀行業務を縮小し清算する計画を明らかにした。

預金獲得競争は激化している。バークレイズのストラテジスト、ジョゼフ・アベート氏によると、2022年末時点で米政策金利上昇分4.25ポイントの約4分の1しか預金者に還元されていない。

銀行株は今年、出足は堅調だったもののこの日の下げで年初来の上昇分を完全に吐き出した。今年に入ってからのKBW銀行株指数の上昇率は一時14%余りに達していた。

 

Silicon Valley Bankの突然死 | 川口耕介のブログ

ここベイエリアにはSilicon Valley Bank (SVB)という銀行がある。地方銀行ではあるが、全米16位で20兆円の顧客資産を預かっているというから相当の規模である。この銀行が、今朝突然死んだ。日本の人にとっては遠くの世界の出来事だと思うが、シリコンバレーのテック・スタートアップには大激震であるので、その様子を一人のスタートアップ創業者としてお伝えしたい。

第一報が来たのは木曜日の午後2時である。うちの筆頭投資家の一人から、SVBがやばいらしいから六ヶ月分の運転資金はどこかに動かしたほうがいいかも、という短いメールが来た。ニュースを見てみると、株式市場が閉まった後でSVBが売られまくって大変な事になっていた。幸い、うちは半年くらい前に別な銀行に乗り換えたので、特に影響はない。そのようにメールを返した。それに、この時はそこまでは心配していなかった。仮に、SVBにキャッシュが全部あったとしても、この時既にこの日の振込処理期限時刻を過ぎていたので、お金を動かすことは出来なかっただろう。五時過ぎに、別の投資家から傘下の企業宛に一斉メールで、SVBの状況を注視しているというメールが来た。不安感が高まる。

金曜の朝を迎える。株式市場ではSVBの取引は朝から停止。他人事ではないので、ニュースから目が離せない。投資家の傘下企業は横の繋がりがあり、朝一でお金を逃がそうとしたよその創業者達から、振込はもう処理されていないという悲痛な知らせが来る。連邦預金保険公社(FDIC)が介入して銀行が破綻したのが午前9時のことだ。銀行が破綻するのを眼前にするなんて。歴史の変わる瞬間とはまさにこのことだ。誰がこんな事を予期できただろう。

FDICの発表によると、月曜日には営業は再開されるが、その時に取り出せるのは$250Kまで。それを上回る分は「預金証書」になり一旦凍結され、FDICがSVBの資産を処分して換金するにつれてアクセスできるようになる。今までの通常の破綻処理だと、別な銀行が全部一旦引き取って資産凍結が起こらないようにするらしいのだが、今回はそういう引受先がまだ見つかっていないようだ。週末の動向が注目される。政府の介入もあるかもしれない。

企業にとっては、キャッシュが滞るというのは死活問題である。従業員の給与の支払い。ベンダーへの支払い。どの位の金額が出入りするかは会社の大きさによって違うが、$250Kなんて、数百人の従業員がいる会社にとっては数日分にしかならない。ちょうど来週は給与支払の週。テック企業は人件費が一番大きな支出なので、支払のための資金が必要だ。あちこちの会社で、阿鼻叫喚の状態になっているだろうなと想像がつく。短期の繋ぎ融資を探したりしているはずだ。煽りで倒産したというニュースはまだ来ていないのが幸いだ。

投資家とSVBの間には、間違いなく何かの契約が存在していて、自分のところで作る会社はSVBに持っていくという約束になっているはずだ。こちらとしても、周りの創業者は全部SVBだし、あえてベルトコンベアを外れる理由がないから、言われるままである。スタートアップ向けの融資プログラムも充実している。このようにして、SVBがテックスタートアップを独占する仕組みが盤石のものになる。法人向け銀行口座はじゃんじゃん手数料を取られていくから、結構馬鹿にならない儲けになっているはずだ。

Brexというスタートアップ向けのお騒がせフィンテック会社が、短期の与信を目玉に早くもSVBのお客の横取りキャンペーンを始めた。SVBの墜落を事前に察知して逃げ出すことができたお金が、木曜日の段階で既に数千億Brexに行ったらしい。銀行は顧客信用チェックなどがあり、新しい口座をつくるのには一週間は掛かるが、Brexは銀行ではないのでもっと早く作れる。さすが禿鷹は仕事が早いぜ。

一方、経費精算・ビジネスクレジットカード会社のExpensifyからは、SVBが取引先の会社の経費精算・ビジネスクレジットカード・請求書支払処理などは全て停止したという連絡が来た。Expensifyは顧客に与信を提供しているわけだから、お客から支払いが滞る可能性が高まったとなると、Expensify自体の資金繰りは大丈夫なのか心配になる。

BrexとExpensifyは競合企業である。Brexはキャッシュの置き場としても使えたから、SVBから逃げ出したお金が入ってきて火事場のボロ儲けになっているっぽいが、Expensifyは逆にババを引いた格好だ。たった一つの機能の差が、こんなに大きく明暗を分けるとは…。

SVBはテック企業のメインバンクというだけではない。ベンチャー債の大口の販売元でもあり、テック企業の大事な資金調達源の一つにもなっている。SVBがどこに買われようと、新規ベンチャー債の発行は大幅に引き締められるだろうから、VC資金の減少とも相まって、テック企業の資本調達環境は一層厳しさを増すことになるだろう。うちの会社はベンチャー債は去年済ませておいて本当に良かった。

 

米財務省など「シリコンバレー銀行の預金、完全保護」 - 日本経済新聞

【ワシントン=高見浩輔】米財務省と米連邦準備理事会(FRB)、米連邦預金保険公社FDIC)は12日、米銀シリコンバレーバンク(SVB)の破綻について共同声明を公表した。イエレン米財務長官は預金者を完全に保護する方法で破綻処理を完了する措置を承認した。FRBが銀行の資金繰りを助ける新たな枠組みを導入する。

FRBによると、新たに導入するのは「銀行タームファンディングプログラム(BTFP)」。金融機関を対象に、米国債住宅ローン担保証券を担保として、最長1年の融資をする。政府の基金から最大250億ドルを利用できるようにする。

共同声明によると、預金の保護はFDICFRBからの勧告に基づき、イエレン氏がバイデン米大統領と協議のうえで承認した。声明は「預金者が3月13日からすべての資金にアクセスできるようになる」と説明。SVBの破綻処理に伴う損失が納税者の負担になることはないとも付け加えた。

州の認可機関によって閉鎖されたシグネチャー・バンク(ニューヨーク市)についても、同様のシステミックリスク例外措置を発表した。「この金融機関の預金者はすべて救済されることになる」と明記した。

株主と担保を持たない一部の債務者は保護されない。声明は上級管理職を解任したとも説明した。

 

 

 

 

 

 

 

 

まずSilicon Valley Bankとは$212Bほどの資産規模の全米第18位の地方銀行です。
その名の通り本社がSanta Claaraにあり顧客にはスタートアップが多い銀行です。
発端は2020年金融緩和で資金調達バブルがスタートアップで起こり、SVBの預金が2019年の$61.76Bから2021年には$189.20Bに跳ね上がり資金を貸し出す先がないために不動産担保ローン(MBS)を主に償還まで保有し続ける体で2021年だけで$85bn投資しました。2022年末でも10年以上の債券保有額は$86Bに上ります
時は2022年政府の利上げが始まりました。債券の基本ですが政策金利が上がると既存の低利率の債券価格がさがります。理由としてはより良い金利で新発行された債券が買える中、1%台利率の債券の魅力がなくなり、新しく発行された債券と売却益+利率で同じくらいのリターンになるように価格調整されます。
そして資金調達が容易であったスタートアップ界隈も資金調達が難しくなります。理由としてはお金を借りるコストが高くなったからです。なのでスタートアップを多く顧客に抱えているSVBの預金額はどんどん減っていきます。ただ彼らのポートフォリオのほとんどが長期のMBSのため、これを売ると損失が発生
ただ預金はどんどん引き出されていっているので、債券を売らないと預金の補填ができない。そこで$21Bの比較的短期の保有債券を$1.8Bの損失を出してまで売却。ただ損失を出したのでその分の補填を$1.25Bの普通株, $0.5Bの私募普通株, $0.5Mの転換条項付き優先株を発行するという本日のニュース
これが発表されたことで市場はパニック。普通株が追加で発行されるということは、既存の普通株の希薄化に繋がるので株は-60%暴落。そしてVCがSVBから預金を引き出せということからパニックに陥っており、預金引き出し停止されているという噂。
では次はどうするのか、ですがもしこのまま取り付け騒ぎで預金残高が急激に減る場合、今の損失以上を出してまで保有しているMBSの売却が進められます。現在想定損失額はもしこのまま落ち着けば、このプレゼンによると十分な流動性を確保していると宣言しているので、粛々と預金が減る分を返すのみ。

2022年末日までの償還まで保有予定債券ポートフォリオの含み損は$15Bを超えていました。このまま預金が急に引き出されたら、SVBが破綻することも十分視野に入ってくるというわけです。そしてSVBが破綻したら他の銀行などにも波及する可能性が十分あるわけです。
今回のSVBはリーマンショックのようになるか?
リーマンショックの時と大きく違うのが、同じMBSが原因ではありますが、リーマンの時はもっとシステミックな問題で、MBSの格付けが甘く、銀行の自己資本比率が低く、住宅ローンを発行してはいけない人にまで発行した質の悪いクレジットが原因でした。
今回の件はMBS自体に罪はなく、正直言ってしまうと「SVBのリスク管理責任者なにやっとったん?」というレベルの話です。つまり彼らのポートフォリオ管理がなってなかったに尽きるのです。
なのでシステム全体に波及するかと言われると多少はするがリーマンほどではないだろうというのが個人的予想
ただ預金を引き出せなくなり、SVBが破綻したらスタートアップエコシステムはは大きく打撃を受けますし雇用にも大きく影響します。破綻したら影響自体は無視はできない規模のものになるのは否めません。オプションとしては国か他行が救済ですが理由が理由で踏み切りづらいというのが正直なところでは。