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2021年記事ピックアップ_その①

日米欧の貯蓄388兆円に 内閣府報告書「消費に向かう」: 日本経済新聞

新型コロナウイルス流行後、主要国で家計の累積貯蓄額が膨らんでいる。内閣府が31日公表した報告書「世界経済の潮流」によると、米国と欧州、日本の2021年前半の家計の累積貯蓄額は計388兆円となり、20年1〜3月期(19兆円)の20倍にあたる。コロナ対応で個人向けの給付金などが増えた一方、外出抑制で消費支出が減り貯蓄に回った。

内閣府が米国(4~6月期)とユーロ圏(1~3月期)、日本(同)の20年1~3月期以降の累積貯蓄額(超過貯蓄)を調べた。

貯蓄額が最も多かったのは米国の2.5兆ドル(約269兆円)で、国内総生産GDP)の12%に相当する。個人向けの3度の現金給付や、失業者らへの家賃支援など可処分所得の増加が大半だった。

ユーロ圏は6800億ユーロ(約83兆円)だった。米国とは対照的に、消費支出の減少による増加分が全体の88%を占めた。20年春以降、複数回に及んだロックダウン(都市封鎖)が消費を抑制した。

日本は36兆円でGDPの6.7%相当だった。政府が初めて緊急事態宣言を発令した20年4~6月に貯蓄額が1~3月の6倍の21兆円に急増した。21年1~3月の貯蓄額の内訳は消費支出の減少分が23兆円で、10万円の特別定額給付金などによる可処分所得の増加分は13兆円だった。

 

 

7銘柄だけで上昇した今年の日経平均 7割はマイナス: 日本経済新聞

日経平均の上昇に個々の銘柄がどれだけ寄与したのかを見てみよう。1位はファーストリテイリング(767円)、2位はソフトバンクグループ(SBG、634円)、次いでエムスリー(519円)が3位。値がさ株がずらりと並ぶのはいつもの光景だろう。

では上位何銘柄までの寄与額を足せば、日経平均の上昇額に達するのか。答えは7だ。7銘柄で日経平均の押し上げ額は3000円を超える。

ここで視線を変えてみよう。日経平均を構成する225銘柄中、年初来でプラスになったのは74銘柄にすぎない。つまり、日経平均は29年ぶりの高値を更新して3000円上昇したのに、7割近くがマイナスという事実があるのだ。寄与度の大きい値がさ株に期待度の高い銘柄が集中したとはいえ、この結果を見るとバブル崩壊後の高値と素直に喜べないのではないか。

 

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LNGに頼り過ぎることの脆さと、今後の対策について|大場紀章 エネルギーアナリスト/ポスト石油戦略研究所代表|note

LNGは文字通り天然ガスを冷やして液化したもので、保管するにはマイナス162度に冷やし続ける必要があり、一般的には長くても1-2ヶ月しか保管しません。したがって、在庫をできるだけ持たないように運用されます。だいたい日本の発電事業者のLNG在庫は2週間分程度と言われています。

また、天然ガスのパイプラインよる供給と、巨大な地下ガス貯蔵設備があるヨーロッパやアメリカとは、ガス供給のリスクがまるで違います。

LNG備蓄を増やす(無駄とコスト増)
 -LNGタンカーを停泊させ洋上備蓄を行う
 -備蓄義務を課す(国が維持費を払う)
 -燃料備蓄の価値を市場評価する

■石炭火力の負荷追従運転を行う(石炭火力の増設か原発稼働増と組み合わせ、批判されやすい)
 -石炭ミルの安定性向上により、九電松浦石炭火力で15%の最低負荷運転が実現している
 -IGCCで使われている濃縮微粉炭搬送技術を使えば、LNG火力を超える負荷追従運転を行うことができる(15%/分とか、東大金子祥三先生談)

■備蓄できる新しいゼロエミ火力用燃料を増やす(コスト増だか将来的にこれしかないかも)
 -アンモニア天然ガスor石炭+CCS、再エネより)
 -MCH(メチルシクロヘキサン)からの水素、等

原発の比率を上げて必要なLNG備蓄量を減らす

 

 

出生数が世界で急落 コロナで不安、日米欧1~2割減: 日本経済新聞

子どもが生まれる数(出生数)が世界で急減している。新型コロナウイルスで経済状況や将来への不安が広がったとみられ、コロナ禍の影響が測れる昨年12月から今年1月、多くの国で出生数は10~20%落ち込んだ。世界全体でこの流れが定着すれば、持続的な成長への足かせになる。

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中国テックへの圧政がいよいよ一線を越える : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍

中国が人口減に転じたのではないかという観測が4月にあって衝撃が走ったのは記憶に新しい。翌月には子供3人目まで容認するとの政策を打ち出したが、誰に聞いても「教育費が高すぎて容認されても子供を産もうと思わない」との反応だったので、では教育費を引下げようと教育企業の規制に乗り出した。

大規模な教育機関が一斉に休日や夏休みの講習を減らしても、保護者は余った時間に他の学生を出し抜こうと闇マーケットでより高い家庭教師を探すに決まっている。従って教育費は更に高騰し、学生が受けられる授業の質は更に劣悪なものになる。このような思い付き一つで出生率が上がるなら昔の計画経済も行き詰まっていない。
いずれにしても、問題はそこではない。曲がりなりにも1000億ドル市場に成長していたセクターが「意見」のペラ紙一枚で消滅できるのである。米国なら企業が規制の取消しを求めて法治社会の枠組み内で提訴することもできただろうが、中国では業界の方も抗議などできるわけもなく直ちに「意見」への恭順を争って表明している。企業経営者の私有財産基本的人権が不可侵でないがゆえに株主まで私有財産破壊の道連れになっている。これでは中国の他のセクターへの投資を考える時もPERも何もあったものではない。米銀が一斉に中国ADRから逃げろと推奨しているのは、通常の銘柄分析では予想できない政策リスクを負って即死できるリスクを考えると当然である。政策リスクを真面目に分析しながら投資しろというなら当然相応のリスクプレミアムが要求される。

 中国ハイイールド債の記事では「もともと中国共産党関係者が乱脈経営を中から外からと要求したり、気まぐれに介入して資産価値をぶち壊していくリスクが伴う計画経済市場の中にあって、その政治リスクと釣り合ってきたのが最後には当局が責任を取って救済してくれるという「信仰」である。「信仰」を取っ払ったら一体何の取柄が残るというのか。企業経営が「市場化」されていないのに資本市場だけ「市場化」されてもゴミの山が残るだけではないか」としていたが、株の方で海外投資家が政治体制の悪臭に対して鼻をつまんでくれる理由は民間企業のなりふり構わぬ速い成長である。それがなくなるとこちらも海外投資家から見てただのゴミの山と化する。

米中対立で中国へのエクスポージャーが警戒される中でも周囲からの有形無形の圧力や疑問に耐えて中国エクスポージャー維持を決め込んだメンツである。これらの「親中」投資家を一網打尽にして見離されるリスクについて中国当局は明らかにアセスメントを行わなかった。行ったとしてもその結論は内向きに指導部の意向を読むことに比べて優先度が低いものとされた。

 

イーロン・マスクのロケット製造5つのステップがサイコーだった

誰もがロケットエンジンのデザインにばかり注目しているし、よく質問されるんだ「どんなロケットエンジンをデザインしたの?」って。で
もそこに盲点がある。実は本当に重要なのはロケットエンジンのデザインそのものじゃなくて、その製造工程なんだ。スペースXでは製造工程をより良くするためにロケットエンジンのデザインの何倍もの労力を割いている。2倍なんてレベルじゃない。文字通り何万倍もだ。もうほとんど製造工程のためにあるってぐらいだ。

本当に難しくしているのは結局は製造工程なんだよ。もっと言えばエンジンパワー当たりのコストをどこまで抑えて製造工程にのせるのか、ここがポイントなんだ。

ステップ1 要件定義にあるバカさ加減を少なくする
ステップ2 プロセスをできるだけ削る
ステップ3 最適化
ステップ4 高速化
ステップ5 自動化

 

人類史、迫る初の人口減少 繁栄の方程式問い直す: 日本経済新聞

世界人口は2064年の97億人をピークに減少する――。米ワシントン大は20年7月、衝撃的な予測を発表した。

50年までに世界195カ国・地域のうち151が人口を維持できなくなる。国連は「2100年に109億人となるまで増え続ける」と試算していたが、出生率が想定以上に落ち込む見通しだ。

危機は目の前にある。1960年代後半に世界の人口増加率はピークの2.09%に達したが、2023年には約80年ぶりに1%を割る。17年には15~64歳の働き手(生産年齢人口)の増加率が1%を下回り、すでに世界の約4分の1の国で働き手が減り始めた。

最も顕著なのは中国だ。来年にも人口が減り始め、2100年には現在の14.1億人から7.3億人に激減するとワシントン大は予測する。同じ年に日本など23カ国の人口が半分以下に縮む。

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「10年後に原発経験者いなくなる」 IHIや三菱重工の半端ない危機感:日経ビジネス電子版

「あと10年もたつと新設プラントの経験者はほとんどいなくなる」。IHIの緒方浩之原子力SBU長は危機感を募らせる。ピーク時の1980年代には原発事業の社員は約1000人いたが、足元ではほぼ半減(協力会社除く)した。設計よりも溶接や機器の組み付けなど技能系の落ち込みが深刻だという。

 「実際に出荷する機器のものづくり現場で仕事をしてはじめてどんな経験が不足しているか分かる。その機会を少しでも作らないと技能維持はおぼつかない」(緒方SBU長)

 技能を守り抜くため工員が汗をかくのが、地下鉄工事などに使われるシールド掘削機の製造だ。前方に取り付けられた刃先を回転させて地中をモグラのように掘り進む。独自の厚板加工や分割した構造物の組み付けノウハウなど、原発にも求められるものづくりがぎっしりつまっている。もちろん安全基準や検査の厳しさは原発の方が格段に高いが、「実地トレーニングには持ってこい」(大久保工場長)という。

 現場には原子力にかかわってきたOBの専門会社からベテラン作業員を派遣してもらうなどして断絶が起きないよう努めている。緒方SBU長は「多少人件費が高くついても構わない」と人カネは惜しまない方針を示す。

原発は巨大なサプライチェーンから成る。その産業規模はざっと年間1兆7000億円、全体の従事者は約8万人に達する。部品点数は1000万にもなり、バルブは火力発電所の7.5倍、電動機は4倍、ポンプは3倍と機器のお化けだ。

 しかも、高温高圧、高い放射能が出る特殊なプラント構造とあって、他の重電設備以上に高い品質管理が部品レベルで求められる。そうした独自のエコシステムが原発退潮を受けて危機に瀕(ひん)している。

 日本原子力産業協会が4月に公表した2019年の会員企業向けのアンケート調査(複数回答)によると、原発停止に伴う影響について59%が「技術力の維持・継承」と回答。具体的には「OJT(現場での訓練)機会の減少」が86%に達した。

 また、三菱重工日立GEニュークリア・エナジー東芝の重電3社で原発の新増設プロジェクトに関わった経験者の割合は15年度に経験なしが55%と半分を超えた。今はさらに増えているとみられる。

同社は関西電力九州電力などが採用する加圧水型軽水炉(PWR)を手掛け、この10年、再稼働に向けた安全工事を収益の柱にしてきた。また、旗艦の神戸造船所(神戸市)では目下、フランス向けに交換用の蒸気発生器9基を製作中だ。とはいえ09年に北海道電力泊原発3号機(北海道泊村)が運転を開始した後は、新設やリプレースから遠ざかっている。

このためすべての技術者を対象に、新設に必要な最大200項目にもおよぶ技術について毎年試験を実施。弱点を見える化している。弱みはベテランとのマンツーマン研修を通してつぶす。「学び続けなければ技能はすたる」。加藤氏らはエンジニアに発破をかける。

 

ビジネス特集 “減産100万台” サプライチェーン危機の現場で何が? | NHKニュース

「鉄など生産に必要な原材料はギリギリの量ではなく、余分に調達することにした。これまでのジャストインタイムの考え方を変えて、ジャストインケース(=念のため)の方針に切り替えた」

「ジャストインタイム」は、必要なものを必要な時に必要な量だけ生産・調達する方式だ。在庫をギリギリまで減らしてコスト削減につなげる合理性をつきつめたもので、日本の自動車産業の競争力の源の1つとされてきた。

一方で在庫を持たないため、いったん原材料や部品の供給が滞り始めると、生産への影響が拡大しやすいというリスクも指摘されていた。

東日本大震災やタイの大洪水などで生産に影響を受けるたびにこの生産方式のリスク面がクローズアップされてきたが、実際に調達方針を変えたと聞いたのはこれが初めてだった。

「日本企業はコスト圧縮のためにジャストインタイムの生産方式を突き進めてきたが、コロナだけでなく自然災害、経済安全保障の問題もリスクとなり、その前提条件は崩れてきている。在庫の積み増しや生産や調達の分散化など“ジャストインケース”の方式が、今まで以上に強化されていくだろう」

 

化学農薬は今後も安価に手に入るのか|shinshinohara|note

化学農薬が安価に買えるのは、石油化学というシステムが機能してるから。石油化学では、原油を加熱してガソリンや軽油重油などを分離し、様々な化学製品を作る原料としてナフサを製造したりしている。その量は膨大で、化学農薬を製造する際の原料も安価に手に入れることができる。

しかし今後、石油の入手が困難になると、化学農薬を安価に合成できるシステムが維持できるのか。天然ガスを改変してナフサを製造する技術もあるらしいけど、石油から作るほど安価にできるのだろうか。

 

なぜ日本は化学農薬を手放せないのか|shinshinohara|note

欧米や中国は大陸性の気候。ざっくり言うと、湿度が低く気温も低め。すると、虫がそもそも少ない。農作物をダメにする病原菌も少ない。湿度が低く気温が低い条件は、有機農業が容易。だって、虫や病気の発生が少ないから。

日本はそうはいかない。代表的なのは梅雨の時期。雨がずーっと降る。しかもそこそこ高温。高温多湿は虫とカビにとってパラダイス。虫がいくらでも湧く。カビがいくらでも繁殖する。無農薬でやろうと思うと、虫とカビをどうやって抑えるかが大きな課題になる。

 

新型コロナ: コロナ対応の債務膨張 インフレ「誤算」で世界に暗雲: 日本経済新聞

コロナ対応で財政は膨れ上がった。国際通貨基金IMF)によると、世界の政府部門の債務総額(グロスベース)の国内総生産GDP)に対する比率は、2019年の83.6%から、20年には98.6%に急上昇した。21年も97.8%と、高止まりする見通しになっている。

米金融大手JPモルガンエコノミスト、ブルース・カスマン氏らは、世界的にインフレ圧力が強まり、米国では米連邦準備理事会(FRB)が重視する物価指標であるコアPCEデフレーターの上昇率が22年には3.4%と、21年の3.3%より高まると予測。そのうえで「中央銀行は、物価上昇で成長を脅かす供給ショックのなかでは金融引き締めをすべきでないというのが原則だ。しかし、物価上昇が中央銀行の物価目標政策の信頼性を脅かしたり、供給ショックが長引くと認識されたりする場合には、対応が必要になる」と指摘している。

世界銀行のアイハン・コーゼ氏らは論文「債務急増の余波」(The Aftermath of Debt Surges)で、債務拡大への対応策をめぐり、オーソドックスな手法として成長、財政再建、民営化、富裕税強化、非伝統的手法としてインフレ、金融抑圧、債務不履行、リストラを挙げている。そのうえで「新興国は状況によってその手法の組み合わせで対応することになるが、いずれも政治的、経済的、社会的コストなしでは実現できない」と指摘している。

日本では、コロナ禍は100年に一度の出来事であり危機対応としての財政拡大もやむなしとの議論が聞かれる。21年度の補正予算に加え、来夏の参院選が視野に入ってくる22年度予算で大型の経済対策が用意される可能性がある。

08年の金融危機や、11年の東日本大震災の際にも100年に一度の危機といった議論のもと巨額の対策が組まれ、それに伴う財政支出を日銀による異次元緩和で支えてきた。

しかし、危機が去ったあとも正常化への取り組みは不十分で、その結果、公的債務のGDP比率(IMFによる21年見通し)はグロスベースで256%、ネットベースで171%と、先進国では突出して高くなっている。

日本ではその水準にこだわるべきではないといった極論もあるが、国際的には比率が財政の健全性のひとつの指標となっている。持続可能性が疑われれば、日本国債が売られたり、巨額の国債を抱える日銀が発行する通貨への信頼が揺らいだり、進出先の経済の安定性を重視する国際的な企業が対日進出を回避したりすることにもなりかねない。

コロナ対応で財政は膨れ上がった。国際通貨基金IMF)によると、世界の政府部門の債務総額(グロスベース)の国内総生産GDP)に対する比率は、2019年の83.6%から、20年には98.6%に急上昇した。21年も97.8%と、高止まりする見通しになっている。

米金融大手JPモルガンエコノミスト、ブルース・カスマン氏らは、世界的にインフレ圧力が強まり、米国では米連邦準備理事会(FRB)が重視する物価指標であるコアPCEデフレーターの上昇率が22年には3.4%と、21年の3.3%より高まると予測。そのうえで「中央銀行は、物価上昇で成長を脅かす供給ショックのなかでは金融引き締めをすべきでないというのが原則だ。しかし、物価上昇が中央銀行の物価目標政策の信頼性を脅かしたり、供給ショックが長引くと認識されたりする場合には、対応が必要になる」と指摘している。

世界銀行のアイハン・コーゼ氏らは論文「債務急増の余波」(The Aftermath of Debt Surges)で、債務拡大への対応策をめぐり、オーソドックスな手法として成長、財政再建、民営化、富裕税強化、非伝統的手法としてインフレ、金融抑圧、債務不履行、リストラを挙げている。そのうえで「新興国は状況によってその手法の組み合わせで対応することになるが、いずれも政治的、経済的、社会的コストなしでは実現できない」と指摘している。

日本では、コロナ禍は100年に一度の出来事であり危機対応としての財政拡大もやむなしとの議論が聞かれる。21年度の補正予算に加え、来夏の参院選が視野に入ってくる22年度予算で大型の経済対策が用意される可能性がある。

08年の金融危機や、11年の東日本大震災の際にも100年に一度の危機といった議論のもと巨額の対策が組まれ、それに伴う財政支出を日銀による異次元緩和で支えてきた。

しかし、危機が去ったあとも正常化への取り組みは不十分で、その結果、公的債務のGDP比率(IMFによる21年見通し)はグロスベースで256%、ネットベースで171%と、先進国では突出して高くなっている。

日本ではその水準にこだわるべきではないといった極論もあるが、国際的には比率が財政の健全性のひとつの指標となっている。持続可能性が疑われれば、日本国債が売られたり、巨額の国債を抱える日銀が発行する通貨への信頼が揺らいだり、進出先の経済の安定性を重視する国際的な企業が対日進出を回避したりすることにもなりかねない。

 

「クリエーター経済」12兆円 YouTubeやTwitterが照準: 日本経済新聞

米インターネット企業が動画や音楽といったコンテンツの制作者を囲い込もうとしのぎを削っている。デジタル基盤を利用して個人がコンテンツを収益化する「クリエーターエコノミー」が広がっているためだ。12兆円の新市場の攻略法をユーチューブのロバート・キンセル最高事業責任者とツイッターのネッド・シーガル最高財務責任者CFO)に聞いた。

「2021年7~9月期にユーチューブは広告で約72億ドル(約8200億円)の売上高をあげ、過半をクリエーターに還元した。こうした収益分配の制度が他社との最大の違いだ。クリエーターは収入の予見可能性が高まり、人を雇ったり機材を購入したりできるようになる。他社が期間限定で収益の一部を配るのとは異なる」

「ユーチューブの月間利用者は世界で20億人に達し、幅広い世代が使っている。時間の経過とともに利用者が高齢化するSNS(交流サイト)とは違う。昨年始めた(ティックトックのように短い動画を投稿できる)『ユーチューブ・ショート』の利用者には若者が多いが、対応する動画の形式を増やすことが主目的だった」

ベンチャーキャピタル(VC)のシグナルファイアによると、日本の「ユーチューバー」などデジタル基盤を活用し、個人でコンテンツを配信して収益化している人たちは世界で5000万人にのぼる。米インフルエンサーマーケティング・ファクトリーは21年に関連市場が1042億ドル(約12兆円)規模になると試算している。

背景には技術と消費者の意識の変化がある。スマホなどの普及によりコンテンツの制作や配信が容易になり、クリエーターの増加につながった。米タイムワーナー(現ワーナーメディア)のダグ・シャピロ元上級副社長は米国では過去60年にわたり連邦政府への信認が下がり、中央集権的な組織への信頼低下がクリエーターの支持拡大につながったとみる。

さらにネット各社による収益化の手段を広げる動きも市場を拡大している。インフルエンサーマーケティング・ファクトリーが8月に米国で実施した調査によると、今後1年間にクリエーターが提供するコンテンツのサブスクリプションのために毎月1~15ドルを払うつもりがあると回答した人の割合は58%に達した。

ただ、成長が続くかには不透明な面もある。課題の一つは、クリエーターエコノミーの拡大を逆風とみている旧来型のコンテンツ企業などへの対応だ。反発が強まれば必要以上に規制が強まり、利便性が低下するといった結果を招きかねない。

 

日本の設備、停滞の20年 総量1割増どまり: 日本経済新聞

日本の設備投資の低迷が続いている。この20年間で設備の総量を示す資本ストック(総合2面きょうのことば)は1割たらずしか増えなかった。米国や英国が5~6割ほど伸びたのと差がついた。企業が利益を国内投資に振り向けていないためだ。設備の更新が進まなければ労働生産性は高まらず、人口減の制約も補えない。低成長の構造要因として直視する必要がある。
日本企業も海外では積極的にお金を使う。対外直接投資はコロナ前の19年に28兆円と10年前の4倍に膨らんだ。コロナ後も流れは変わらない。

日立製作所は米IT(情報技術)大手のグローバルロジックを1兆円で買収した。パナソニックも7000億円超でソフトウエア開発の米ブルーヨンダーの買収を決めた。20年度の設備投資は日立が連結ベースで3598億円、パナソニックが2310億円にとどまる。各社が成長の種を外に求める結果、投資が細る国内市場は成長しにくくなる。海外で稼いだお金を海外で再投資する傾向もある。

もちろん企業も世界に投資を広げる一方で国内に抱える雇用の質を高める取り組みは怠れないはずだ。学び直しなどの支援と同時に仕事を効率化するデジタル化も加速する必要がある。企業を動かし、資本ストックが伸び悩む悪循環を断てるような賢い経済政策こそが求められている

 

日本株を買わない日本人 新しい資本主義「貧しくなる」: 日本経済新聞

個人投資家日本株離れは公募投信の人気ファンドの顔ぶれにも浮かぶ。21年1~11月は首位の「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株」に1兆2375億円、海外株ファンド全体では約7兆3000億円が流入した。一方、日本株ファンドは売れ筋から姿を消し、400億円強が流出した。

史上最高値を更新しつづける米国株には先行き警戒感もくすぶるが、日本の投資家は下がるとすかさず買いを入れている。財務省によると、新型コロナの変異型「オミクロン型」の出現で米国株が弱含んだ12月第1週(11月28日~12月4日)に、日本の投資家は米国など海外の株式と投信を計1兆2150億円買い越した。これは統計を遡れる05年以降で最大の買い越し額だ。

企業経営の効率性を示す自己資本利益率ROE)と株価上昇率との長期的な相関関係をみれば、根本的な動機は一目瞭然だ。日本企業の過去20年のROEは平均7.3%にとどまるが、米国企業は13.0%に達する。このROE格差が縮まると期待できない投資家が増えている。
自己資本利益率ROE)は、企業が株主から預かった資本を使ってどのくらい効率的に稼いでいるかを表す。純利益を自己資本で割って算出する。リスクをとって株に投資した投資家の期待リターンは8%程度とされるが、日本の上場企業のROEは長年これを超えられず、株価低迷の原因となってきた。日本企業のROEが低いのは過当競争で利益率が上がりにくいのが主因で、業界再編がROE改善のカギだ。一方、米企業は独自のビジネスモデルで利益率が高い。しかも稼いだ利益のほぼ全額を配当と自社株買いで株主に返して自己資本の増加を抑え、2ケタのROEを維持する。これが投資家の期待リターンを上回り、株価を押し上げている。