海外マネーが日本市場に殺到している影響でTOPIXは高値を更新。
とくに中国国内の投資マネーが国内市場に見切りをつけて、プレミアム分のコストを払って海外市場に投資する動きが顕在化している。殺到しすぎて日経ETFの取引一時停止したりでバタつく展開。
海外投資家とは反対に、日本国内の個人投資家は国内よりも海外に目が向いている。その結果、世界市場のダイナミックな動きと比べると国内グロース市場が閑散状態。ただ、売り枯れの様相になりつつあり、個別の材料でS高タッチする銘柄が増えている。
チェック事項
- 新NISAマネーの海外投資信託買いによるドル買い
- 2023年の日本の平均気温が観測史上最高に
- 1月1日に令和6年能登半島地震
- 台湾総統選挙は民進党の頼清徳氏が当選で現行路線継続
- 11日に米英軍がイエメンのフーシ派拠点を攻撃
- 22〜23日に日銀の金融政策決定会合
キーワード
2024年問題、新NISA、生成AIの実経験への影響、選挙YEAR、シリコンサイクル、ガバメントクラウド
2024年度のトレード方針
- キャッシュ比率を資産の1割~4割の間でコントロール
- ピラミッティングで疑似トレンドフォロー
- TOPIXと全世界株式(オルカン)をベンチマーク
- 大型株と小型株の比率が偏りすぎな無いようにする
- 金利政策変更からの実経済への影響のタイムラグを想定
2024年銘柄選別基準
- ROEの継続性
- 直近売上、もしくは営利の10倍以上の成長余地
- 中期経営計画と達成可能性
- 従業員数と1人あたりの売上
- グリッチとカタリスト
- 無形資産の価値向上を評価
- 経営者のバランス感覚
- グロース株は配当性向と取得利回り、バリュー株は配当利回り
みずほリサーチ&テクノロジーズ : みずほ経済・金融ウィークリー(2024年1月17日号)
世界経済:足踏み状態が続く製造業の景況感。非製造業も力強さを欠く
米国:コアCPIは減速基調を維持
欧州:企業の雇用保蔵等を背景に労働需給は引き続きひっ迫
中国:国内のディスインフレ傾向を受け、一部品目では「デフレ輸出」の懸念
台湾:民進党・頼氏が総統選勝利も議会は「ねじれ」。両岸関係の緊張に要警戒
アジア:輸出は半導体サイクルの持ち直しを受けて1年ぶりの前年比プラスに
日本:都区部CPIは減速基調が続く中、サービス物価の上昇はやや足踏み
実質賃金のマイナス幅が縮小傾向にある中、消費者マインドも緩やかに改善
金融市場:日本株は、バブル期以来の水準を回復。3要因が押し上げに寄与
電話対応、生成AIで時間5割短く コールセンター大手調査 - 日本経済新聞
顧客の問い合わせに対応するコールセンター業界で、生成AI(人工知能)の導入が急速に進んでいる。大手13社中12社がオペレーターの支援や通話内容の要約などに活用し、平均5割の業務時間削減効果を見込んでいることがわかった。人手不足の解消につなげ、データ分析など付加価値の高い事業領域へのシフトを狙っている。
生成AIは自然な対話や文章要約を得意とする。コールセンターにおける顧客対応は特に導入効果が高い...
プライム市場、PBRで絞り込み 東証が対応企業を公表 - 日本経済新聞
東京証券取引所の市場改革と企業のコーポレートガバナンス改革が、新たな段階に入ろうとしている。これまで東証はコーポレートガバナンス・コードを定めて、独立社外取締役の人数などの「形式」を整えることに重きを置いていた。しかし、このやり方に限界が見えてきた。そこで形式ではなく企業価値や株価に反映されているかという「結果」の重視にかじを切る。
その一手が、PBR(株価純資産倍率)対応を実施する企業名を記した一覧表の公開だ。2024年1月15日から実施する。東証は23年3月にプライム市場とスタンダード市場の上場企業を対象に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を要請した。
PBR1倍割れの解消を求め、PBR向上の方針や取り組み、進捗などをコーポレートガバナンス・コード報告書などで開示するよう求めている。開示企業を一覧表にし、情報を毎月更新していく予定である。
東証に2つの狙いがありそうだ。
1つは、様子見している経営者の後押しだ。東証によると、対応状況を公開した企業はプライム上場企業の31%である。同業や競合他社の開示を見てから対応しようと思っている企業が多いことが分かる。こうした経営者の背中を押す。
対応を「検討中」と記載している企業も多い。東証はこれらの企業について「一覧表において分類して掲載」するとクギを刺す。こうすることで、検討すると言いながら放置している経営者を浮き彫りにする。「検討中」の継続は許さないという東証の強い意志が見える。
もう1つの狙いが、一覧表を投資家の投資判断や対話(エンゲージメント)に活用してもらうことだ。大和総研の神尾篤史主任研究員は「企業だけでなく投資家もエンゲージメント方法を模索している。一覧表は企業との対話テーマを設定する際の参考になるだろう」と話す。
ある国内証券会社の担当者はヘッジファンドから「PBR向上に取り組んでいる企業の一覧表が欲しいと言われた」と打ち明ける。どの企業がどのような施策をしているのかを業種などで横並びにして見ることで、投資判断や投資ウエイトの参考にするという使い方だ。
企業がPBR向上の意志や取り組みを開示したタイミングで、株価がどう反応したのかを知りたいというニーズもあるという。こうした情報を企業とのエンゲージメントで使い、企業にさらなる取り組みや情報公開を促すためだ。企業のPBRの向上に注目した投資商品も出てきた。PBR1倍超の実現は、投資家によるエンゲージメントが鍵となっている。
PBRの向上には自己資本利益率(ROE)の向上が欠かせない。東証だけでなく、大手機関投資家も経営者への働きかけを強めている。
米大手議決権行使助言会社のインスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)は、新型コロナウイルス感染症の影響を考慮して猶予していたROE基準を24年2月に復活させる。過去5期平均のROEが5%未満かつ改善傾向にない場合、経営トップの再任議案に反対推奨する。機関投資家の第一生命保険は24年4月から、直近3期連続のROEが8%未満で社外取締役が半数未満だった場合に、買収防衛策の導入に反対する。
23年10月、プライム市場からスタンダード市場に無審査で移行できる177社がスタンダード市場に移行した。旧東証第一部市場の上場企業数は2177社だった。22年4月のプライム市場発足時に338社がスタンダード市場に移行しており、合計515社がスタンダード市場に移行した。東証再編後、24%が国内最上位市場から退場したことになる。
膨らむマンション建築費 23年12月最高、人手不足響く - 日本経済新聞
マンションやオフィスビルの建築コストが膨らんでいる。民間調査機関の建設物価調査会(東京・中央)によると、東京の2023年12月の工事原価は前年同月を5〜6%上回り、それぞれ過去最高を更新した。資材高に加え、人手不足による人件費の上昇が響く。新築マンション価格やオフィス賃料を押し上げる可能性がある。
調査会は建物の工事費用を指数化した建築費指数(工事原価)を毎月まとめている。建築工事に加え、電気や空調などの設備工事費用も加味している。
15日発表した23年12月の建築費指数(速報値、15年=100)は、マンション(鉄筋コンクリート造)が127.7と前年同月を5.6%上回り、5カ月連続で過去最高を更新した。オフィスビル(鉄骨造)も5.1%高い129.7と2カ月連続で最高値を更新した。前月比でもマンションが1.0%、オフィスビルが0.9%上昇した。
現場の人手不足もコストを押し上げた。建物の基礎を造るのに必要な鉄筋工事やコンクリート型枠工事も、職人を確保するために賃金を引き上げる必要があった。
前年同月比の指数上昇率は、マンション、オフィスビルともに22年12月に比べて鈍化した。工事の停滞で鋼材など下落に転じた資材があったためだ。
都心部再開発などの大規模案件は工期を重視し、費用がかさんでも建設が進んだ。一方、中小規模のビルやマンションは資材高や人手不足が響き、工事の遅れや計画の見直しが相次ぐ。
鋼材などは荷動きが減り、商社や問屋の間で安値取引も広がった。建物の柱や梁(はり)に使うH形鋼(指標品種)の東京地区の流通価格は1トン12万2000円前後と、23年夏以降1.6%下落した。
今後は資材高に代わって労働コストの上昇が建築コストを押し上げるとみられている。建設業界でも24年4月から時間外労働に上限規制がかけられる。人手不足が深刻さを増すことも予想される。
マンションやオフィスビルの開発は、収益の確保がますます難しくなる。マンション価格は東京都心部で海外富裕層や不動産投資家の旺盛な買いを背景に、すでに高騰している。建築費の上昇が重なることで高額化が一段と進みかねない。
日本不動産研究所(東京・港)の吉野薫主席研究員は「デベロッパーはより高い賃料収益が見込める好立地の物件に注力すると考えられる。オフィスビルなどの開発プロジェクトの選別が進み、供給量が絞られる可能性もある」と指摘する。
ニデックが中国「一時停止」 eアクスル、現地流コスト削減 - 日経モビリティ
ニデックが電気自動車(EV)向けeアクスルで中国事業を立て直す。2024年3月期の販売台数見通しを約4割下方修正し、拡大路線を一時停止した。過剰な価格競争に加え、主要構成部品のインバーターの採用で失策があった。インバーターのコスト削減を進めるのと並行して日本の完成車メーカーとの取引を増やし、巻き返しへ態勢を整える。
「方針転換は大正解だ。あのままだと赤字が拡大していた」。ニデックの小部博志社長兼...
23年12月の企業物価横ばい 2年10カ月ぶり低さ - 日本経済新聞
日銀が16日発表した2023年12月の企業物価指数(速報値、20年平均=100)は119.9と、前年同月比の上昇率が0%で横ばいだった。上昇率は11月(0.3%上昇)から0.3ポイント低下し、21年2月(マイナス0.9%)以来、2年10カ月ぶりの低い水準となった。政府の対策で電気・ガス料金が押し下げられ、価格転嫁の動きも一時期より落ち着いてきた。
23年通年では前年比4.1%上昇だった。指数水準は119.6と比較可能な1980年以降の過去最高を更新したが、前年比は2022年(9.8%上昇)より鈍化した。政府が23年2月から実施する価格抑制策で電力・都市ガスなどの伸びが大きく減速したほか、木材・木製品など川上に近い品目の値上げの勢いが収まった。
企業物価指数は企業間で取引するモノの価格動向を示す。サービス価格の動向を示す企業向けサービス価格指数とともに今後の消費者物価指数(CPI)に影響を与える。企業向けサービス価格は4カ月連続で2%台の上昇を維持しており、物価の押し上げ要因がモノから人件費上昇の影響を受けやすいサービスに移りつつある。
企業物価指数で公表する515品目のうち404品目が値上がりした。民間予測の中央値(0.3%下落)より0.3ポイント高かったが、23年1月から12カ月連続で伸び率の鈍化が続いている。
内訳をみると、石油・石炭製品はガソリン補助金の減額を受け、前年同月比4.6%上昇した。飲食料品も4.4%上昇した。11月に続き、原材料やエネルギーのコスト上昇を販売価格に反映する動きがみられた。
電力・都市ガス・水道は前年同月比で27.6%下落し、11月(マイナス24.5%)より下落幅が3.1ポイント拡大した。燃料費の下落や政府の電力・ガスの価格抑制策がマイナスに寄与した。日銀の試算によると、電力・ガスの価格抑制策は企業物価指数全体の上昇率を約0.3ポイント押し下げている。
輸入物価は円ベースで前年同月比4.9%下落し、9カ月連続でマイナス圏となった。11月(マイナス6.4%)より下落幅が縮小した。
スズキ、ハンガリー工場1週間停止 物流混乱で - 日本経済新聞
スズキは16日、ハンガリーの完成車工場での生産を15日から21日まで停止することを明らかにした。中東の紅海で商船への攻撃が相次いでいることで物流が混乱し、日本で製造したエンジンなどの部品の輸送が遅れているためだ。
ハンガリー北部エステルゴムにある完成車工場で生産している多目的スポーツ車(SUV)の「ビターラ」(日本名エスクード)と「Sクロス」の生産を1週間停止する。再開は22日を予定する。同工場での生産実績は2022年度で14万2000台。
イエメンの親イラン武装組織フーシ派が商船を狙った攻撃をしており、海運各社は紅海とスエズ運河の運航を一時停止し、アフリカ南端の喜望峰を経由する迂回ルートに切り替えている。米テスラもアジアの部品が入手できなくなったとして、ドイツの工場稼働を停止することを明らかにしていた。
国交省、ダイハツ認証不正でグランマックス・タウンエース・ボンゴのトラック 型式指定取り消しへ バンは対象外|政治・行政・自治体|net+
ダイハツ工業の認証不正に関し、国土交通省は1月16日、同社の小型トラック「グランマックス」など3車種の型式指定を取り消す方針を固めた。同日夕方、斉藤鉄夫国交相がダイハツの奥平総一郎社長に組織体制の抜本的な改善を求める「是正命令書」を手渡した。型式指定の取り消しと是正命令を出すのは、2022年3月にエンジン認証不正が発覚した日野自動車に続いて2社目となる。
斉藤国交相は同日の閣議後会見で、3車種の型式指定を取り消す手続きを始めたことを明らかにし「自動車認証制度の根幹を揺るがし、日本の製造業の信頼性に関わる大きな問題だ」と語った。
型式指定の取り消しは、グランマックスのトラックと、同車種をベースにOEM(相手先ブランドによる生産)供給しているトヨタ自動車「タウンエース」、マツダ「ボンゴ」で、バンタイプは対象外となる。国交省は23日にダイハツに対する聴聞を開き、結果を踏まえて取り消しを最終決定する。型式指定を取り消されると、再取得するまでは事実上、生産できなくなる。
3車種については、型式申請に必要な「オフセット前面衝突試験」「フルラップ前面衝突試験」で、本来はECU(電子制御ユニット)で作動させるエアバッグをタイマーで作動させるなどの加工を行っていたほか、申請を行う自動車と異なる構造の自動車を用いて試験を実施しており、悪質性が高いと国交省は判断した。
リモートワーク、生産性に大きな影響与えないもよう-米SF連銀調査 - Bloomberg
米国ではリモートワークを比較的採用しやすい産業は、対面での勤務がより多い業界と比較して、2020年以降に生産性が大きく上昇したり、低下したりしていない。サンフランシスコ連銀が16日公表した新たな調査で明らかになった。
ジョン・ファーナルド氏率いる同連銀エコノミストらは、リモートワーク形態へのシフトは今後も進化し続ける社会の形を変えた一方で、「リモート勤務やハイブリッドワークへの移行が、生産性の伸びを大幅に抑制、あるいは押し上げたという証拠は産業データからほとんど読み取れない」と分析した。
調査では、化学製造業や小売業、宿泊・飲食サービス業など43業種の生産性動向を分析し、各産業の職業構成とリモートでできる仕事の割合に基づいて「テレワークの可能性」に関するスコアを割り当てた。
「リモートワークが生産性を大幅に向上させるのであれば、特に専門サービスのようにテレワークの導入が容易で広く採用されている業種では、レストランのように対面で仕事をする必要がある業種に比べて生産性パフォーマンスが上昇するはずだ」とファーナルド氏と共同執筆者は指摘。
だが、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)前の産業別の傾向を調整すると、パンデミック以降の生産性とリモートワークの普及率との間に統計的な関係はほとんど見いだせなかったという。
新型コロナはテレワークの普及に飛躍的な進展をもたらした。パンデミック前はわずか5%だったのに対し、ピーク時には6割余りがリモートワークとなった。多くの米企業が従業員にオフィスへの復帰を促しているものの、23年12月時点では就業日の約3割がリモートワークとなっている。
実はマイナス成長、名目GDPで日本を追い抜いたドイツが全然笑えないワケ 名目GDPが膨らんだ最大の理由は物価高、成長要因がプラスの日本の方が健全(1/4) | JBpress (ジェイビープレス)
米ドル建て名目GDPで日本を抜き、世界第3位の経済大国になったドイツ。だが、名目GDPが膨らんだ要因は物価高と為替要因で、経済成長自体はマイナスだ。
ユーロ導入以降、ドイツは輸出主導の経済成長を謳歌してきたが、高インフレに伴うコスト増やエネルギー価格の高止まりを受けて、輸出の国際競争力が低下している。
ドイツに抜かれた日本も円安に苦しんでいるが、成長率自体はプラスと健闘している。日本は今の円安を好機として、今一度、輸出競争力の向上に努めるべきだ。
2023年のドイツの米ドル建て名目GDPの成長率を「成長要因」(実質GDPの増減)と「価格要因」(GDP価格指数の変動)、「為替要因」(対ドルレートの変動)で寄与度分解を施すと、その増加につながった主因は「価格要因」であることが分かる(図表2)。
次いで、「為替要因」もドイツのドル建て名目GDPを膨らませる方向に働いている。この間、ユーロの対米ドルレートは3%ほどユーロ高ドル安が進んだ影響だ。
反面、「成長要因」はわずかだがマイナス寄与となっている。ドイツの実質GDPが0.3%減のマイナス成長となったためであり、ドイツ経済の厳しさがうかがえる。
中国上場の日本株ETFのアホらしい舞 : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍
中国で上場する日本株ETFの乱高下が話題になっている。日経平均指数は年末から年初にかけて連日上昇してきたが、その指数を追い越す形で中国上場の日本株ETFが更に高騰し、日経平均指数から離れて勝手に乱高下を繰り返した。年初来の日経平均指数の上げ幅は6%程度であったが、中国上場の日経平均ETFは度々のストップ高を経て一時年初来22%も上昇した。これではもはや日本株のチャートではない。
一般的にETFはファンド価値が原資産指数の値動きに連動するような原資産のバスケットを保有しており、一方で取引所では投資家の売買(需給)に基づいた価格が形成される。原資産の日本株はその間上昇はしたものの、極端には上昇していないので、直近の中国上場の日本株ETFの上げの大半は、ファンドが保有する原資産のフェアバリュー(1口当たり純資産価格、1口当たりNAV)対比の上海市場での需給由来のプレミアム拡大と解釈される。
中国上場ETFがどんなに暴れようと、日本市場への影響は象徴的なものに限られる。中国上場ETFが日本株ETFを追加で買えないからこそプレミアムが付いているわけで、また投資家が中国上場ETFをショートしながら日本株指数を買って裁定するのも困難である。或いはそう思って実際にショートを試みた参加者が焼かれてこうなったのかもしれない。そもそも「523520 華夏(AMC)野村日経225ETF」は130億円程度の規模しかないため、たとえ裁定が行われようと日経平均に直接与えるマーケット・インパクトはゼロに等しい。「日経平均がここから10%上がった水準でも買いたい投資家が存在する」事実を深読みすべきではない。所詮、ETFを10%プレミアムで買うようなリテラシーの投資家の相場観である(もっとも日本株ETFにたどり着いた時点で、中国国内の投資家の中では相対的にはリテラシーが高いかもしれない)。他の多くの投資家がこのチャートを見て心を揺さぶられながら日本株をトレードしているという、テクニカルにも似た心理的な影響はあるかもしれない。それでもたかが130億円程度のETFに時価総額が900兆円に近い日本株市場が振り回されるのはナンセンスである。
インデックス型の海外株投信、2023年は3.5兆円流入 全体の5割超 - 日本経済新聞
個人マネーの海外志向が鮮明だ。海外株に投資するインデックス型の投資信託への資金流入額は2023年に前年比10%増の約3兆5000億円となり、比較できる06年以降で最高だった。海外の株式や債券に投資する投信への資金流入が全体の75%を占めた。世界の成長企業に低コストで投資できる点が個人投資家の支持を集めている。
投資信託協会が17日発表した23年12月の投信概況によると、設定額から解約・償還額を差...
Amazonが日本に2兆円投資 AI普及でデータ量急増 - 日本経済新聞
クラウドサービス世界最大手の米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)は19日、2023〜27年の5年で日本に約2.3兆円を投資すると発表した。クラウドの基幹設備であるデータセンターの増設や運営体制強化に充てる。生成AI(人工知能)の普及などに伴うデータ処理量の爆発的な増加を見越して投資を加速する。
AWS日本法人が19日に都内で記者会見を開いて投資方針を説明した。日本で顧客のデータを処理・保管しているデータセンターの設備投資や運用費の総額は2011年から22年の12年間の累計が1兆5100億円だった。23年から27年までの5年間では2兆2600億円を投じる。
成長市場であるインド向けの30年までの投資計画(1兆560億ルピー、約1兆9000億円)を超える巨額投資となる。日本市場重視の姿勢を鮮明にする。
会見でAWS日本法人の長崎忠雄社長は「日本の顧客のデータ利活用を支え、様々な経済波及効果を生み出し、日本の成長に貢献する」と語った。
背景には日本の企業や行政の旺盛なクラウド需要を取り込む狙いがある。重視するのは今後市場が拡大する生成AIへの対応だ。独調査会社スタティスタによると日本の生成AI関連市場は2030年に23年比4.8倍の87億ドル(約1兆2900億円)に達する見通し。657億ドルの米国や296億ドルの中国に次ぎ、英国やドイツなど欧州先進国を上回る。
生成AIは膨大なデータの学習や質問への回答作成のため、クラウド上で大量のコンピューターを使って情報を処理しなければならない。幅広い業種で生成AIの利用が進み、膨大な情報量を処理するために大規模なデータセンターが必要となる。重要な情報を扱うためデータ処理を国内で完結させたいという企業も多い。
長崎氏は国内にデータセンターを置くメリットについて、「AWSの投資拡大でデータを国外に持ち出さず日本で利用できるようになる。国内にデータセンターがあるので非常に低い遅延でクラウドを使える」と語った。
生成AI向けクラウド需要急増をにらみ、AWSとライバル関係にある米マイクロソフトや米グーグルも日本のデータセンター投資を急ぐ。マイクロソフトは23年2月に西日本で複数のデータセンターを稼働させた。グーグルも日本初のデータセンターを千葉県印西市に建設して23年3月から稼働している。
AWSやマイクロソフト、グーグルの存在感は公共分野でも大きい。3社はデジタル庁が整備し政府や地方自治体が共同利用する「ガバメントクラウド(政府クラウド)」の提供事業者に選定されている。国内勢は、さくらインターネットが23年に初めて選定されたばかりで出遅れている。他に国内のクラウド事業者はソフトバンクやNTTグループなどがある。
ただし寡占には警戒感が出ている。世界のクラウド市場ではAWS、マイクロソフト、グーグルが合計で3分の2のシェアを握り、上昇傾向にある。AWSは地域別の売上高を公開していないが、日本でも世界と同様の傾向にあり3社の持つシェアは高い。
生成AIの開発や利用には大規模データセンターが必要で、クラウド大手の支配力が一段と強まるとの見方がある。一部の企業の影響力が高まりすぎると、料金の高止まりなどが発生しかねない。
自治体向けのITシステムなどでは、開発や管理を特定のIT企業に依存する「ベンダーロックイン」が長年問題視されてきた。クラウドも特定企業のサービスを使い込むほど別のサービスへの切り替えが難しくなり、顧客の囲い込みが生じやすいとの指摘がある。
クラウド大手に対する監視の目は世界で厳しさを増す。欧州連合(EU)は巨大IT企業の活動を規制するデジタル市場法(DMA)を今春にも全面適用する。
AWSは今回明らかにした投資政策によって日本の国内総生産(GDP)に5兆5700億円寄与すると主張している。日本経済への貢献度をアピールするのには外資脅威論を抑える狙いもある。(高槻芳)
「次は中小型株」海外投資家が注目 際立つ割安感、東証も援軍 - 日本経済新聞
中小型株に対する見直し買いの機運が高まっている。2024年度の増益率は大型株を上回る見通しで、先回りして中小型株の買い増しに動く投資家も現れ始めた。大型株中心に上昇してきた日経平均株価は3万6000円付近で上値が重く、上昇相場には息切れ感も漂う。割安感に注目した中小型株買いは、相場の新たな押し上げ役になる。
ゴールドマン・サックス証券は1月、VTuber(バーチャルユーチューバー)事業を手がけるANYCOLORとカバーのカバレッジ(調査)を開始した。時価総額はそれぞれ2100億円、1586億円にとどまり、野村証券や大和証券といった日系大手はカバレッジをしていない。
狙いはどこにあるのか。ゴールドマンの高山大樹・投資調査部長は「日本独自の魅力や強みを価値化していく企業として、世界の投資家にも関心を持ってもらうため」と説明する。
中小型株は年初からの株高に乗り遅れている。日経平均が昨年末比で7%高となっているのに対して、JPX日経中小型株指数は同2%高と出遅れが鮮明だ。
しかし、足元では中小型株の投資妙味を指摘する声がにわかに目立ちはじめている。
みずほ証券は23年末、中小型株に対する見方を「オーバーウエート(強気)」に変更。SMBC日興証券の吉野豊チーフテクニカルアナリストも「24年は中小型株が数年続いた停滞から抜け出す年になるのではないか。大型株に比べて上昇余地が大きい」と指摘する。
市場関係者の見方を総合すると、理由は3つ挙げられる。まずは相対的な業績の底堅さだ。野村証券によると、24年度の経常利益伸び率は小型株(ラッセル野村スモールキャップ指数採用銘柄)が11%と、大型株(同ラージキャップ指数採用銘柄)の7%を上回る。「累積的な利上げの影響などで欧米の景気減速が懸念されるなか、内需中心の中小型株には相対的な業績期待を持ちやすい」(インベスコ・アセット・マネジメントの服部幸博ポートフォリオ・マネジャー)
2つ目は、過度な「大型・バリュー偏重」の巻き戻しへの期待だ。スタイル別TOPIXの騰落率の差をみると、23年は大型・バリューに物色が大きく偏っていたことがわかる。小型株指数の予想PER(株価収益率)は足元で13.0倍で、過去10年平均(14.3倍)を下回り割安感もある。
最後に「東証効果」だ。TOPIX採用銘柄について時価総額別にPBR(株価純資産倍率)1倍割れの比率をみると18日時点で3000億円未満は約5割。一方、3000億円以上は3割程度にとどまる。中小型株の多くは低いPBRの改善途上で、株主還元の拡充といった動きを今後も期待しやすい。
さらに、グロース市場で上場を維持するための時価総額基準を引き上げるなどの検討も始まっている。新規株式公開(IPO)のハードルが上がり、質の高い企業に限られることで中小型株市場のセンチメント改善につながるとの見方もある。
19日にはフィデリティ投信が、日本の中小型株に投資するファンドを新規に設定した。4兆円近い運用残高を持つ米国籍ファンドの運用チームが、同じ投資哲学を応用して日本株に特化した運用に乗り出す。こうした流れの中で海外投資家に「発見」される中小型株が増えてくれば、今回の上昇相場は息の長いものになりそうだ。
コラム:新NISA、外貨買い誘発し「貯蓄から逃避」の契機になるのか=唐鎌大輔氏 | ロイター
2024年に入り、残念ながら「家計の円売り」はテーマ性を帯び始めている。新NISA(少額投資非課税制度)の稼働を契機として、国内大手運用会社が運用する海外株式を対象とする投資信託に1日で1000億円を超える流入があったという事実と、円相場の軟調地合いをリンクさせる報道も目立ち始めた。
非常に短期間のうちに家計部門が自国通貨売りを行い、国債を含めた自国通貨建て資産価格が一斉に暴落する場合、「キャピタルフライト(資本逃避)」という表現が使われるが、現状はそこまでの急性的な症状は出ていない。だが、マイルド・キャピタルフライト(穏当な資本逃避)程度の表現は今後、当てはまる可能性がある。過去の寄稿の経緯もあって照会も非常に増えているため、改めて新NISAに伴う「家計の円売り」を掘り下げてみたい。
今後、週次・月次の証券投資統計や民間証券会社から徐々に明らかになる数字をもとに試算はアップデートするが、政府が連呼する資産運用の必要性やこれを受けた世の中における新NISAのあおられ方を見る限り、「7─9兆円程度」は、現時点でさほど大胆な予想でもないだろう。
今後、資産運用に関連したニーズは増える一方と思われる。金融庁調査(2023年9月)に基づけば、旧NISAの口座数の中で、30代(17.5%)・40代(18.9%)・50代(18.3%)がコアゾーンとなり、60代以降のシェアは低下する。見方を変えれば、今後、高齢者になる世代は従前の高齢者世代とは異なり、運用意欲とリテラシーを備えた層に入れ替わっていくことが想定される。
また、コアゾーンである30─50代も、「円高の歴史」が当たり前ではなくなったことを知る世代に入れ替わっていく。投資ではなく防衛としての資産運用を検討する動機は、過去の世代よりも強いと思われる。いずれにせよ、ここから運用ニーズが収縮するとは考えにくい。
「今までよりも資産運用ニーズは増える」という予想に立った場合、まず「今まで」を知る必要があるが、この点は投資家部門別の対外証券投資動向から大まかなイメージが得られる。
具体的には、投資信託委託会社等(以下単に投信)経由で対外証券投資がどれほど出ていたかが参考になる。2014年1月に旧NISAが始まり、それ以降、投信経由の対外証券投資は前年比での増勢が途切れたことはない。
2014年から2023年の10年平均で年間3.6兆円程度、コロナ前に限ったとして2014年から2019年の6年平均で計算しても年間3.4兆円程度とあまり変わらない。ちなみに2023年は年間4.5兆円程度に増えた。この年間4.5兆円程度が新NISAでどこまで膨らむのかがポイントになる。既述した「7─9兆円程度」という試算は4.5兆円程度に照らせば1.5─2倍程度になる。もちろん、直ちにそれほどの規模に達するのは難しいだろう。しかし、これから掘り起こされる潜在的な投資家層も踏まえれば、さほど非現実的な想定とも言えまい。
では「7─9兆円程度」が円相場の需給環境にとって、どれほどの意味を持つのか。ここでは経常収支の現状と比較してイメージを把握したい。
例えば、昨年1─11月分の旅行収支黒字の合計は約3兆円だった。これは暦年としての過去最大(2019年の約2.7兆円)を更新する大きな黒字だ。国策に照らして表現すると「資産運用立国」に伴う円売りが「観光立国」に伴う円買いを上回った状況になる。
また、旅行収支を含めた経常収支という観点に立てば、1─11月分は約17.7兆円と非常に大きな黒字だ。
だが、これは統計上の数字である。経常収支黒字の主柱をなす第1次所得収支黒字は、筆者試算によれば25─30%程度しか円買いにつながらない。
米国債の利子や米国株の配当金、海外子会社の内部留保などは、外貨のまま再投資されてしまうにもかかわらず「統計上の黒字」として計上されてしまう。この点を加味した筆者試算のキャッシュフロー(CF)ベースでの経常収支は約2兆円の赤字だ。
2024年は旅行収支黒字の拡大と貿易サービス収支赤字の縮小が重なることで、CFベースの経常収支が若干ではあるが黒字を回復するというのが筆者想定である。しかし、その若干の黒字も「7─9兆円程度」という「家計の円売り」に飲まれて、やはり円売り超過の体質が変わらないという可能性も視野に入る。まさに筆者が常々懸念していた展開だ。冒頭で述べた通り、足元の為替市場でテーマ視される「家計の円売り」は、まだマイルドであり、月に4─5円も円安になり、円金利まで押し上げられるような状況は想定されない。
もっとも、マイルドな状態が永続する保証もない。2023年末には新NISAの購入予約額がネット証券大手5社で月間2300億円に達したという報道があった。報道内容から察すると、このうちのほとんどが外貨建て投信に向かっている。2023 年 9月末時点の 旧NISA口座数は約2034万口座だったから、円売り規模は「月に1口座1万円」程度と推定される。
今後もこの程度で抑えられるかどうかは、家計の「胸先三寸」で決まる。今は「月に1口座1万円」でも、これが1.5万円ならば3450億円、2万円ならば4600億円と膨らむ。年間ならその12倍だ。
米中古住宅販売、12月は予想外に減少-通年では1995年以降の最低水準 - Bloomberg
米国の中古住宅販売件数は、昨年12月に市場予想に反して減少した。2023年通年では1995年以来の低水準に落ち込んだ。
経済の中で金利に最も敏感な分野の一つである住宅市場は昨年、米利上げにより打撃を受けた。
統計を発表した全米不動産業者協会(NAR)のチーフエコノミスト、ローレンス・ユン氏は「中古住宅販売は昨年12月で底を打ったようにみえる。2024年には間違いなく上向くだろう」と指摘。「住宅ローン金利はわずか2カ月前と比べて大幅に低くなった。向こう数カ月には在庫も増えると予想される」と述べた。
12月の統計によれば、中古住宅販売在庫は100万戸に減少し、昨年3月以来の低水準。現在の販売ペースで見た場合、在庫消化に要する期間は3.2カ月。5カ月を下回ると在庫がタイトと見なされる。
在庫不足を背景に物件価格は高止まりしている。中古住宅の販売価格(季節調整前、中央値)は前年同月比4.4%上昇して38万2600ドル(約5670万円)。2023年の中央値は38万9800ドルと、過去最高を記録した。
12月に売れた住宅の約56%は、市場に出てから1カ月未満で買い手が決まった。物件が市場に出ている平均期間は29日。前月は25日だった。地域別では中西部と南部で減少した。
1995年当時、全米の人口は今より約7400万人少なく、住宅価格(中央値)は約11万4600ドルと、現行水準の3分の1未満だった。
【JPXからのお知らせ📝】
— 日本取引所グループ(JPX) (@JPX_official) 2024年1月15日
東京証券取引所は、2023年3月にプライム市場及びスタンダード市場の全上場会社を対象に要請した「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」に基づき開示している企業の一覧表の公表を開始いたしました。
詳しくはこちら↓https://t.co/gU2gbzimbP
おそらく水源地は@shenmacroさんで、NISAから毎年海外投資5兆円というのが一人歩きしてるような気もする。海外株式投信への資金流入は既に数年継続しており、多いと月間5千億円以上の投資があった。なので「個人マネーのフローは為替レートに数年影響を及ぼしている」という方が自然なのではないか。… https://t.co/0TcgPKSwLq pic.twitter.com/v6vwPOmKor
— ActiveIndex (@ActiveIndex) 2024年1月18日
◆ 外国人買い vs 個人売り
— 後藤達也 (@goto_finance) 2024年1月18日
さきほどの日本株売買データ(先週分)。外国人以外の買い越し/売り越しもグラフにしました。noteに取り急ぎのポイント解説を流しました。外国人が日本株を買い、個人が海外株投信を買う構図ともいえます
👇note【いま初月無料】https://t.co/0ROfnkTPtS https://t.co/4QjS8lPGbZ pic.twitter.com/xvztbRENIB
◆ 海外シフト
— 後藤達也 (@goto_finance) 2024年1月20日
年明け〜1/18の投資信託への資金流出入をタイプ別に分類したグラフです。新NISAはオルカンやS&P500が人気で、海外株が突出しています。逆に日本株投信はなんと流出超。海外シフトが鮮明です。ソフトな「キャピタルフライト(資本逃避)」という指摘も増えています(下のツイートご参照) https://t.co/S78lDCUEho pic.twitter.com/rhWtPoCwI1