トランプ政権の懲罰的アプローチの限界が見え始めている。
米国よりも中国を選びつつある中南米、イーロン・マスク氏のテスラの販売不振、欧州の反露連携による核武装強化方針、関税政策に対応できない米国中小事業者の苦境、労働市場の軟化を示唆する雇用統計など幅広い領域で米国の価値を毀損する影響が出てきている。
あと、どこまで相関性があるのかはわからないけど、AI相場で高値を形成していたナスダックの下落が続いている。
欧州の反露連携の流れでドイツが財政支出拡大路線に転換。5日にドイツ連邦債が過去35年で最大の下落。この流れに連動して日本の長期国債も2009年以来の1.5%に上昇し、ドル円が一時146円台後半をタッチするまで円高に動いた。
投資の方針としては「需給で売り込まれている非シクリカル内需の逆張り」か「防衛、LNGなどトランプ政権銘柄に乗る」かの2パターンで考えてみる。


チェック事項
- 4月13日 大阪関西万博
- 3月18日・19日 第2回FOMC
- 3月18日・19日 第2回日銀政策会合
- 長期金利が1.5%まで上昇し、2009年以来の高水準
- ドル円が一時146円台後半まで円安方向に
- 3月5日 トライアルが西友買収を発表
- オレンジ、カカオ豆の価格上昇がピークアウト

キーワード
バッテリーパスポート、生成AIを活用した仮想訓練システム、EIOFs、米国商用不動産リスク、生コン空白地、配当ファクター、サイバーセキュリティー産業振興戦略、ニッチ日本株ファンド、中国の石炭余り
2025年度のトレード方針
- キャッシュ比率を資産の1割~4割の間でコントロール
- ピラミッティングで疑似トレンドフォロー
- TOPIXと全世界株式(オルカン)をベンチマーク
- 大型株と小型株の比率が偏りすぎな無いようにする
- 金利政策変更からの実経済への影響のタイムラグを想定
- 決算資料熟読ノルマ 5社/週
- 成長枠NISAは成長株に
- その選択に主体性を乗せることができているか?
2025年銘柄選別基準
- ROEの継続上昇
- 直近売上の10倍以上の潜在市場
- 中期経営計画と達成可能性
- 従業員数と1人あたりの売上
- グリッチとカタリスト
- 無形資産の価値向上を評価
- 経営者のバランス感覚
- PF全体で配当利回り3%を目安にする
- 配当利回りの継続上昇(非シクリカル、連続増配、DOE)
国内サイバー産業、売上高3兆円へ育成 経産省が新戦略 - 日本経済新聞
経済産業省は5日、新たなサイバーセキュリティー産業振興戦略を公表した。日本のサイバー関連企業の年間売上高を足元の0.9兆円から、2034年度までの10年間で3兆円超への引き上げを目指す。政府が国内新興企業の対策ソフトを優先調達するほか、開発費の補助や人材育成に力を入れる。
国内では現状は海外製品への依存度が高く、経済安全保障の観点から国内企業の育成が重要とみる。経産省は国内産業を育て、自国内で十分に対策を取れるように支援する。国内サイバー対策市場の日本勢のシェアは21年時点で4割程度にとどまる。
新戦略では政府が使うサイバー対策ソフトを国内の新興企業から調達して流通を促すほか、懸賞金型のコンテストを実施して技術を育てることなどを掲げた。高度な人材育成や日本発技術の国際標準化も狙う。
日本企業や政府機関へのサイバー攻撃は増えている。政府は国会でサイバー攻撃を未然に防ぐ「能動的サイバー防御」のための関連法案を審議している。
トランプ氏、関税措置の可能性を示唆-日本や中国が通貨安誘導の場合 - Bloomberg
トランプ米大統領は3日、日本と中国が通貨安政策を取るなら米国は「不当に不利な立場に置かれる」と述べるとともに、そのような場合、関税措置を講じる可能性を示唆した。日本を名指しした発言を受け、円は対米ドルで上昇した。
トランプ氏はホワイトハウスのイベントで発言したもので、円はニューヨーク時間3日の取引で一時1ドル=149円11銭とこの日の高値を付けた。米国株が売られ、安全資産として円の魅力が高まった。
トランプ氏は暗号資産(仮想通貨)の戦略準備に関して演説後に記者団の質問に答え、日本が円を押し下げて、中国が元を押し下げれば、「われわれは極めて不当に不利な立場に置かれる」と指摘した。ブルームバーグ・ガバメントが伝えた。
具体的には鉱業・建設機械大手の米キャタピラーに言及し、日本や中国などの国々が自国通貨を押し下げれば、米国でトラクターを製造するのは「とても困難になる」とコメントした。
その上で、中国の習近平国家主席や「日本の首脳」に電話し、米国にとって不公平であることを理由に、「通貨を押し下げ続けることはできないと話した」とし、ラトニック商務長官に対し「関税率をやや引き上げなければならなくなるだろうと、私から言う必要が生じる」と語った。
また、習主席や他国の指導者に何度も電話をかけて、こうした国々が自国通貨を押し下げている点を何度も指摘してきたと主張し、そうする代わりに「これを非常に簡単に解決する方法は関税だ」と述べ、「彼らがそうするなら、われわれは関税で埋め合わせる」と話した。イベントにはラトニック氏も同席した。
一方、トランプ氏が中国からの輸入品に対する関税率を現行の2倍の20%とする措置に署名したとのホワイトハウスの発表を受け、中国のオフショア人民元は対ドルで下落し、一時0.2%安の1ドル=7.3067元とこの日の安値を付けた。
このほか、トランプ氏がカナダとメキシコからの輸入品に25%の関税を新たに課す方針をあらためて確認したことを受け、カナダ・ドルとメキシコ・ペソも対米ドルで下落。カナダ・ドルは一時0.5%安の1米ドル=1.453カナダ・ドル、メキシコ・ペソは0.9%安の1米ドル=20.75ペソで取引された。
アナリスト調査少ない企業が有望-ニッチ日本株ファンドが高リターン - Bloomberg
日本企業の合併・買収(M&A)案件増加が、アナリスト調査の少ない中小企業に投資するファンドに高パフォーマンスをもたらしている。
ニッチ・ジャングル日本株オーファン・カンパニー・SDGファンドはブルームバーグのデータによると年初来6%以上のリターン(2月末まで)だ。ユーロベースのTOPIXスモール指数(税引き後配当込み)の3%を上回り、同様のファンドで上位1%に入る。これまで利益を得た20社のうち半数は2022年のファンドに立ち上げ後に買収された企業だ。
日本企業へのガバナンス(統治)や株主還元の圧力が強まり、ブルームバーグのデータによると買収につながりやすい株式公開買い付け(TOB)案件数は昨年94件とさかのぼることが可能な1998年以降で最多、今年も2月25日時点で24件と初めて年100件を超すペースで増えている。こうしたM&A案件がファンドのパフォーマンスを押し上げている。
運用会社ニッチ・アセット・マネジメントのファンドマネジャー、マッシモ・バジアーニ氏とアンドレア・アンドレアス氏はブルームバーグのインタビューで投資基準について、アナリストの調査が皆無またはほとんどない日本の小型株でネットキャッシュを持つ割安株だと明らかにした。
ファンド運営については、ポートフォリオに含まれる約150社のうち7割以上の企業に取材している株式アナリストのサリーナ・レッグ氏の調査を基にしている。 対象企業は少なくとも10年間の上場、最低でも約20億円の浮動株があることを条件にしている。
ファンドでポートフォリオ比率が最大(2月14日時点)の中央紙器工業は、ニッコンホールディングスによる1月末のTOB発表を受けて株価は3.7倍以上に上昇した。また投資していたフェイスは昨年11月からのGenesis1によるTOBを受けて株価は3倍以上になった。フェイス株は1月30日に上場廃止になっている。
こうした中小企業への投資は株価大幅高が期待できると同時に、市場での取引量が少ないという流動性リスクを抱えている。投資している遠藤製作所はブルームバーグのデータによると、過去1年間で1日平均2万2000株程度の取引なのに対してトヨタ自動車は2900万株以上ある。
こういった流動性リスクを軽減するためにファンドは保有株の一定割合を迅速に売却できるようにしている。また現金はポートフォリオの5-12%を占め、その半分はユーロに対してヘッジされている。
バジアーニとアンドレアス両氏は日本株ファンド以外にも2022年に韓国でもファンドを設立、23年にはインドネシアの小型株のファンドを始めている。
日本の中小企業は国内販売に依存しており円高の影響を受けにくい側面がある。このため中小型株への投資は、米トランプ政権誕生を契機とした世界的な貿易戦争や日本銀行の政策金利引き上げによる円相場の乱高下からの避難場所になり得る。
カカオ豆が4カ月ぶり安値 供給過剰懸念で売り広がる - 日本経済新聞
カカオ豆の国際指標であるロンドン市場の先物価格(第2限月)は3日、一時前営業日比11%安い1トン6522ポンドまで下落し、およそ4カ月ぶりの安値をつけた。国際ココア機関(ICCO)が2月末に公表した需給予測がカカオ豆の供給過剰を示す内容で、今後値下がりするとの懸念から売りが広がった。
ICCOは2月28日、24〜25年度のカカオ豆需給予測を発表。24〜25年度の世界全体のカカオ生産量は前年比7....
テスラ中国部門、2月に出荷半減-競合するBYDは大幅な販売拡大 - Bloomberg
電気自動車(EV)メーカー、米テスラの上海工場からの2月の出荷台数(卸売りベース)は再び低迷した。世界最大のEV市場である同国では、ライバル比亜迪(BYD)がさらに躍進している。
中国の全国乗用車市場情報連合会(乗連会)が4日に発表した暫定集計データによると、イーロン・マスク氏が率いるテスラの出荷台数は前年同月比49%減の3万688台となった。
春節(旧正月)休暇の影響で低調だった1月の出荷台数(6万3238台)からも大幅に減少した。
対照的にBYDの完全EVとハイブリッド車の販売台数は2月に前年同月比161%増の31万8000台超と、大幅な伸びを記録した。
中国の石炭余り深刻化、輸入規制再開の可能性-モルガン・スタンレー - Bloomberg
世界最大の石炭市場である中国が石炭の輸入規制を再開する可能性があると米銀モルガン・スタンレーはみている。業界団体が中国市場での供給過剰の深刻化に警鐘を鳴らした。
同行のサラ・チャン氏らアナリストらはリポートで、中国が世界貿易機関(WTO)に加盟していることを踏まえ、全面的な輸入禁止措置は現実的ではないものの、当局が輸入延期や検査実施に動くことが考えられると説明した。同じような制約は2014年と17年、18年にも導入された。
中国は22年まで年間約3億トンの石炭輸入上限を維持していたが、エネルギー安全保障上の懸念から、現在はその水準を大きく上る輸入をしている。昨年は5億4300万トンと、過去最高を更新した。
牛肉はもう安くない、トランプ政権下で姿を消すハイチ人工場労働者 - Bloomberg
米コロラド州グリーリーに大型工場を構える食肉加工最大手、ブラジルのJBSはライン生産労働をハイチからの移民に依存してきた。
バイデン前米大統領がこうした移民の一時的な滞在・就労資格を延長したことを受けた動きだ。労働組合の担当者によれば、同工場では現在約1000人のハイチ人が働いている(JBSはこの見積もりに異論を唱えている)。
米国の消費者が手頃な価格で牛肉を購入できるのは、食肉解体という過酷で危険な仕事に就く移民労働者のおかげであり、こうした移民の波は全米の食肉加工工場に押し寄せている。現在のところ彼らの就労は完全に合法だが、トランプ大統領の下で状況はすぐに変わる可能性がある。
ホワイトハウスは一部のハイチ人やベネズエラ人、難民、亡命希望者を強制送還から保護する措置の終了または制限に動いた。祖国の混乱や災害から逃れてきた移民の後ろ盾を外す取り組みを強化している。後ろ盾を失った移民は就労が認められず、帰国か強制送還の選択を強いられる恐れがある。そうなれば全米の工場が労働者を失い、移民に依存してきた食肉加工業界を根底から覆しかねない。
グリーリー工場を代表する全米食品商業労働組合(UFCW)幹部のマーク・ローリツェン氏は「何百人もの生産ライン労働者がいなくなる」と指摘。「それが起こるとどうなるだろうか。供給が減れば、価格は上昇する」と述べた。
JBSはグリーリーやその他の工場で大きな雇用の問題が生じるとは想定していないとの声明を発表。米国での労働者6万5000人のうち、一時的な滞在・就労資格を持つ労働者は2%に満たないとし、グリーリー工場のハイチ人労働者数に関する労組の見積もりは「不正確」だと指摘した。その上で、労働者の国籍は確認していないとして、同社の数字を示すことは控えた。「JBSはグリーリーの施設でもその他全米の工場においても、人員を適切に確保できることに不安はない」と説明した。
トランプ氏による国境取り締まり強化で移民労働者の入国が制限されれば、長期的には食肉加工業者にとって試練となる。
プラチナの地上在庫3年で半減 25年、3年連続の不足へ - 日本経済新聞
白金(プラチナ)の供給が不足している。国際調査機関によると、2025年は自動車触媒向け需要の底堅さを背景に、3年連続で需要を下回る。利用可能な「地上在庫」は22年から半減する見通しだ。金(ゴールド)に比べ割安な白金価格の下支えとなりうる。
英ワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシル(WPIC)が5日、24年の需給統計と25年の見通しを発表した。24年の総需要は5%増の258トンと8年ぶり...
トライアル、西友を買収 再建のカギ握るデジタル化 - 日本経済新聞
ディスカウント店大手のトライアルホールディングス(HD)が5日、スーパー大手の西友を買収すると発表した。2024年3月に東証グロース市場へ新規上場したばかりの新興勢が老舗を傘下に収める形だ。トライアルHDは西友をスーパーとホームセンターの融合店に転換させるといった具体的な再建策の検討に入った。得意のIT(情報技術)が再建のカギを握る。
5日、東京都内で記者会見したトライアルHDの亀田晃一社長は「...
ドイツ債過去35年で最大の下落、財政タカ派転換-欧州に「地殻変動」 - Bloomberg
ドイツ連邦債が5日の取引で大きく売り込まれ、過去35年で最大の下落となった。
次期首相就任が確実視されるメルツ氏が、防衛力強化のため、大胆な財政改革案を提示したことに反応した。財政規律を重視する「財政タカ派」として知られるドイツにとって劇的な変化となる。これを受けて、欧州各国で財政支出が増え、経済成長が促されるとの期待が強まった。
ドイツの10年物国債利回りは30ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し、2.80%と2023年11月以来の水準となった。1日の変動幅としては、ベルリンの壁崩壊後にドイツ再統一への準備が進められていた、1990年3月以来の大幅上昇だった。
メルツ氏は4日夜、大規模な財政改革の一環として5000億ユーロ(約80兆円)の特別基金を設立すると発表。また、防衛費として国内総生産(GDP)の1%以上を支出する場合には、憲法上の借り入れ制限(債務ブレーキ)の対象外とすることも提案した。メルツ氏は、国を守るために「あらゆる手段を講じる」と強調した。
財政支出拡大への期待から、短期金融市場では年内の欧州中央銀行(ECB)利下げ見通しが大幅に後退した。ドイツ債のほか、イタリア債も売りを浴び、英国債も下落した。イタリアの10年債利回りは29bp上昇し、3.92%と8カ月ぶりの高水準になった。
ヌビーンのグローバル投資ストラテジスト、ローラ・クーパー氏は 「ドイツの現状は、欧州の投資戦略の再考を促すものだ。市場は財政面で今後見られるであろう事態の規模を過小評価している可能性がある」と指摘した。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)の欧州担当エコノミスト、エブリン・ハーマン氏はドイツの発表について「大規模かつ大胆、想定外の内容で、見通しを一変させる」と指摘。これは「地殻変動」だと述べた。
パナマ運河の港管理する香港企業、支配権を売却-トランプ氏には勝利 - Bloomberg
香港のコングロマリット企業、長江和記実業(CKハチソン・ホールディングス)は、パナマ運河に隣接する港湾を管理する傘下部門の支配権をブラックロックが率いるコンソーシアムに売却することで合意した。トランプ米大統領はパナマ運河における中国の影響力を制限するよう圧力をかけていた経緯があり、今回の取引は同氏にとって勝利となる。
同社は世界23カ国で港湾43カ所を運営するグループ会社ハチソン・ポーツの持ち分80%に相当する傘下部門をコンソーシアムに売却することで原則合意した。
ブラックロックのほか、同社傘下のグローバル・インフラストラクチャー・パートナーズ(GIP)、ターミナル・インベストメントを含む同コンソーシアムは、パナマ運河の太平洋側に位置するバルボア港と大西洋側のクリストバル港の2港を運営するパナマ・ポーツの株式90%もCKハチソンから取得する。CKハチソンは今回の取引で約190億ドル(約2兆8200億円)を手にする見通し。
トランプ氏はパナマ運河を取り戻すと表明。証拠を示すことなく、同運河は中国が実効支配していると主張していた。ブルームバーグは先月、パナマ政府がCKハチソンとの港湾運営契約を破棄するかどうかを検討していると報じていた。
米雇用者数は堅調ペース維持も失業率は上昇、労働市場の軟化示唆 - Bloomberg
キーポイント
非農業部門雇用者数(事業所調査、季節調整済み)は前月比15万1000人増
エコノミスト予想の中央値は16万人増
前月は12万5000人増(速報値14万3000人増)に下方修正
家計調査に基づく失業率は4.1%に上昇-前月4%
市場予想は4%
今回の統計は労働市場の軟化を示す新たな証左となった。恒久的に職を失った人が増え、連邦政府の雇用が減少。フルタイムでの雇用を望みながらもパートタイムの職に就いている労働者の数が急増した。複数の職に就いている労働者は890万人近くに膨らみ、過去最高を記録した。
トランプ大統領の政策でより広範な経済への懸念が強まり、労働市場が弱まる背景になっている。ここ数カ月、インフレは高止まりしており、消費者は支出を控え始めている。この傾向が続けば、企業は採用計画を再考せざるを得なくなる可能性がある。
コメリカ・バンクのチーフエコノミスト、ビル・アダムズ氏は「目先の政策の方向性が不透明なため、経済の方向性も不透明だ」とリポートに記述。「政府が大幅な関税引き上げと歳出削減を継続するなら、今後数カ月は雇用創出の足かせとなり、失業率をさらに押し上げる可能性が高い」と指摘した。
米金融当局者は利下げを再開する前に、来週発表される消費者物価指数(CPI)など、インフレ指標が持続的に落ち着くかどうかを見極めたい意向を示している。トランプ政権の政策に対する高い不確実性と相まって、連邦公開市場委員会(FOMC)は今月の会合で政策金利を据え置くことが広く予想されている。
金融市場では米国債利回りが低下し、ドルは下落。円は一時、対ドル146円95銭に上昇した。
雇用増加は医療や運輸、金融活動が主導した。ここ数年、雇用増の主因となってきた政府関連の雇用は、約1年ぶりの低いペースで増加した。そのうち連邦政府の雇用は2022年6月以来の大幅減少となった。
事業所調査は12日を含む週に実施されるが、2月において当該週はトランプ政権による政府職員の解雇の大半が実施される前だった。その結果、3月の統計は「はるかに悪い」内容になるだろうと、ウルフ・リサーチのチーフエコノミスト、 ステファニー・ロス氏はブルームバーグテレビジョンで語った。
トランプ氏は製造業の雇用を米国に呼び戻そうと関税を導入しており、すでにアップルやHPなど一部企業は国内投資の計画を発表している。一方、アルミニウムメーカーのアルコアは、関税により10万人の雇用が失われる可能性があると警告している。
さらに移民の制限や不法移民の送還などの取り組みは、ここ数年の雇用を拡大してきた主な要因を抑制することになる。
ハセット国家経済会議(NEC)委員長はブルームバーグテレビジョンで「政府の雇用と歳出を削減し、製造業の雇用を増やす」と語った。
ブルームバーグ・エコノミクスのアナ・ウォン、スチュアート・ポール、イライザ・ウィンガー、エステル・オウ4氏は「連邦政府の縮小はすでに雇用統計に表れ始めているようだ。労働市場が悪化しているため、FOMCは今年合計75ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利下げを実施すると予想している」と指摘した。
雇用統計は雇用者数を算出する事業所調査と、失業率および労働参加率を算出する家計調査の2つで構成される。家計調査には独自の雇用者数の指標もあり、これは1年余りで最も多い60万人近い減少となった。
失業率の上昇は、恒久的に職を失った人の増加を反映したもので、失業率はヒスパニック系米国人と高校卒業資格のない人で特に上昇した。フルタイムでの雇用を望みながらもパートタイムの職に就いている労働者の数は、ほぼ4年ぶりの高水準に達し、不完全雇用率として知られる指標を押し上げた。
労働参加率は2年ぶりの低水準となった。主に男性の参加率が低下した。25歳から54歳までの労働参加率は、83.5%で横ばい。
特にインフレリスクが再び高まりつつある中、労働力の需給が賃金上昇にどのような影響を与えるかについてもエコノミストは注目している。平均時給は0.3%増と、前月の0.4%増から伸びが鈍化した。
新規失業保険申請件数は新型コロナ流行前の水準に近いが、ゴールドマン・サックス・グループやウォルト・ディズニーなどの大手企業が最近、大幅な人員削減を発表したことから、今後は申請件数が増加に転じる可能性もある。連邦政府によるレイオフの波及効果も相まって、今後数カ月の失業率はさらに上昇する可能性がある。
雇用と就業時間、時給を組み合わせた指標で、総労働所得の代替指標となる週平均給与総額は、過去3カ月に年率換算で2.9%増加した。これは2020年に急減した後の回復局面では最も低い伸び。
セブン&アイ、自社株買い2兆円 30年度までに - 日本経済新聞
セブン&アイ・ホールディングス(HD)は6日、2030年度までに総額2兆円の自社株買いをすると発表した。時価総額の約4割にあたり、異例の規模となる。株主還元を重視する姿勢を示し、株価の上昇につなげる。
同日発表した、総合スーパー事業の売却や北米コンビニの上場にともなう一部売却によって得られる資金をあてる。配当政策も見直し、累進配当を取り入れる。
自社株買いは2001年の商法(現在の会社法)改正で企業が機動的にできるようになった。24年にトヨタ自動車(1兆2000億円)やホンダ(1兆1000億円)が1兆円を超える取得枠を設定している。
セブン&アイは24年10月の決算説明会の中で、資本配分を発表していた。イトーヨーカ堂などを傘下に持つ「ヨーク・ホールディングス」の株式の一部売却資金などを元手に26年2月期までに1000億円の自社株買いを実施するとしていた。今回はそれを上回る大規模な株主還元策を打ち出す。
セブン&アイの株価は低迷している。2月下旬に2400円台近辺で推移していたが、創業家の伊藤家が株式非公開化を断念したことで急落。5日終値は1998円だった。
カナダの同業アリマンタシォン・クシュタールはセブン&アイに対し、1株18.19ドル(約2700円)で買収を提案している。セブン&アイは自社単独路線を志向しており、株式市場の理解を得るためには株価の引き上げることが急務になっている。
自社株買いはROE(自己資本利益率)の向上につながり、需給の改善からも株価を上昇させる効果がある。ただ中長期的な成長戦略に充てる資金も確保できるかも重要になる。
オレンジジュース先物が半値に 高騰で消費に陰り - 日本経済新聞
オレンジジュースの国際価格が一転、急落している。ブラジルで生産量の持ち直しが見え始めたことや、価格高騰による消費抑制が背景だ。相場を押し上げていた投機筋が売りに転じ、先物は高値から半値になった。

米サブプライム層の自動車ローン、返済遅延の割合は記録的高水準 - Bloomberg
米国では自動車ローンの返済に苦戦している借り手が増えており、返済遅延の割合はここ30年余りで最高となった。
フィッチ・レーティングスによると、サブプライム(信用力の低い個人)の借り手のうち、自動車ローンの返済が60日以上遅れている割合は6.56%に達し、1994年の統計開始以降で最高となった。
景気減速と根強いインフレの影響により、多くの消費者は支払いが一段と困難になっている。特に自動車ローンは頭痛の種となっており、自動車価格の高騰と借り入れコストの上昇で差し押さえが急増している。
ニューヨーク連銀の最近の報告によれば、90日以上の深刻な返済遅延に陥った借り手が全体に占める比率は昨年10-12月(第4四半期)に3%と、2010年以来の高水準に達した。
トランプ米大統領が誘発した貿易戦争で株式市場では値動きが荒くなり、景気減速懸念が強まっている。
フィッチの北米資産担保証券(ABS)担当シニアディレクターのマイク・ジラード氏は「低所得者層はかなり影響を受けており、年内はその傾向は続くと予想している」と述べ、「高インフレと金利上昇による影響はまだ続いている」と指摘した。
自動車業界、米への工場移転に数年も-関税一時適用除外も厳しい現実 - Bloomberg
トランプ米大統領は自動車生産をメキシコやカナダから米国に戻したい考えだが、現実は厳しい。大半の自動車メーカーは生産移管に数年を要する見通しで、資金繰り難の部品メーカーでは実現しないかもしれない。
ブルームバーグ・ニュースは5日、カナダとメキシコに発動した25%の関税についてトランプ氏が自動車と部品メーカーに1カ月間の猶予を与えたと報じた。その狙いの一つは、企業に米国での生産拡大計画を立案させることだ。だが、バンク・オブ・アメリカ(BofA)の6日のリポートによると、米国での工場建設には数年かかり、多くのサプライヤーにとって財務上、実現不可能とみられる。
アナリストのジョン・マーフィー、ジョン・バブコック両氏はリポートで「生産能力構築と工場の人員確保には3年以上かかるだろう」とし、「25%の関税を支払うより米国で生産する方が高くつくため、大半の自動車部品メーカーには実行不可能だ」と分析した。
一時適用除外が発表される前の2月に実施された米自動車部品工業会(MEMA)の調査では、25%の対メキシコ関税についてサプライヤーの82%が自社ビジネスへの悪影響を予想。ほぼ半数が、関税発動から半年後に米国で人員削減を実施する見通しだと回答した。
BofAのアナリストによれば、自動車部品メーカーは既にメキシコでの賃金上昇に苦慮しており、「生き残りをかけて」他の中南米諸国への工場移転を検討している。自動車部品は自動車産業の対米輸入額の約半分を占めるという。
円は147円台後半、日銀利上げ期待で5カ月ぶり高値圏-リスク回避も - Bloomberg
7日の東京外国為替市場の円相場は1ドル=147円台後半と、約5カ月ぶりの高値圏で推移。春闘の高い賃上げ要求を受けて日本銀行の追加利上げ期待が高まり、円買いが優勢になっている。トランプ米政権の関税政策に対する懸念から日本株が大きく下げていることも、リスク回避の円買い要因だ。
加藤勝信財務相は7日の閣議後会見で、為替相場について「昨年12月以降、一方的、また急激な動きも見られる」と述べ、「投機的な動向も含め為替市場の動向を憂慮しており、行き過ぎた動きに対して適切な対応を取っていく」とけん制した。
SBIリクイディティ・マーケットの上田真理人金融市場調査部長は、日銀の利上げについて「期待が高い中で5月の見方も増えてくるとみられ、3月の決定会合で利上げのタイミングを示唆する可能性がある」と述べた。
また、米関税政策による不確実性の高まりから「ドルは買いにくい」と指摘。加藤財務相のけん制発言については「背景にある市場の懸念から悪い円高になってきているということではないか」との見方を示した。
年末まで2%の声も、日本の長期金利に先高観-優等生ドイツの乱 - Bloomberg
2009年以来の高水準となる1.5%台を付けた日本の長期金利に対し、市場参加者は先高観を強めている。日本銀行の追加利上げ観測が広がる中、欧州主要国の金利急騰が火に油を注いだ。特に財政規律を守る優等生とみられてきたドイツの姿勢転換は世界にショックを与えている。
長期金利の1.5%台は日銀がゼロ金利政策を導入した1999年2月から続くレンジの上値圏に位置し、本格的な「金利ある世界」の入り口に達したことになる。政策金利が現状と同じ0.5%だった2007-08年は1.9%台後半まで上昇しており、そこまで上がると1.7%台で推移する中国とも逆転し、世界で金利が最も低い国債のアクティブ運用を見送ってきた投資家も戦略変更を迫られる可能性がある。
三菱UFJアセットマネジメントの小口正之エグゼクティブ・ファンドマネジャーは、欧州や米国に比べて日本の長期金利は低水準が続いたが、インフレや潜在成長率の水準から25年12月までに2%を目指す展開になるとみている。
金融市場の期待インフレを示すブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は7日に1.7%台に上昇し、過去最高を更新した。国内発のインフレが強まってきたことが示唆され、日銀の追加利上げ観測を強める要因だ。
T&Dアセットマネジメントの浪岡宏チーフ・ストラテジストは、ドイツの金利急騰が長期金利1.5%突破のトリガーになったと指摘し、「名目成長率や残存2年・5年・10年債利回り曲線の傾きから、長期金利は年内に1.8%に上昇してもおかしくない」と予想する。
5日の欧州債市場ではドイツ連邦債が大きく売り込まれ、過去35年で最大の下落。次期首相就任が確実視されるメルツ氏が防衛力強化のため、大胆な財政改革案を提示したことに反応した。イタリアや英国債も売りを浴びた。
りそなアセットマネジメントの藤原貴志債券運用部長兼チーフファンドマネジャーは、欧州の金利上昇は財政問題にフォーカスが当たり、「ドイツは財政面で優等生だったイメージだが、これが転換する可能性が警戒されている」と言う。
アクサ・インベストメント・マネージャーズの木村龍太郎債券ストラテジストはドイツと同様、日本も財政拡大による長期金利の上振れを想定せざるを得なくなったと話す一人だ。「トランプ米政権の圧力で日本も防衛費の拡大を迫られ、国債を増発しなければならなくなる事態も考えられる」と警戒する。
中国の長期金利は、中央銀行の金融緩和観測の強まりから今年初めに過去最低を更新し、足元では1.7%台で推移している。不動産不況による資金需要の停滞で幅広い年限で金利が低下し、30年国債利回りは心理的な節目の2%を割り込み、2.5%台半ばの日本の30年国債金利を下回る。
金利一段高のリスクに備え、長期国債先物のトレーダーは中心限月3月物の売り持ち高(ショート)を慌てて期先物に乗り換えている。限月交代に伴う取引を示す3月物と6月物の限月間スプレッド取引は、6日に3兆円超の水準に増加。限月交代前までの同時期の限月間取引も、過去2回の限月交代時と比べ倍程度に膨らんだ。
三菱UFJアセットの小口氏は、国内勢中心に限月間スプレッド縮小時に「売り建てポジションを移行する動きが強まる」と話す。
一方、明治安田生命の北村乾一郎運用企画部長は、10年債の1.5%、30年債利回りの2.5%までの上昇は「短期的には行き過ぎだ」とみている。日銀の利上げは年に2回、計0.5%のペースで、長期金利1.5%の定着は半年先から1年後だと予想。利回り水準としては魅力的になってきたが、年度末が近く、「多くの投資家が買いに入るのは新年度に入ってからだろう」と述べた。

アングル:中南米が中国と貿易関係強化、薄まるトランプ氏の影響力 | ロイター
[ブエノスアイレス/ブラジリア/北京/ワシントン 3日 ロイター] - リバタリアン(自由至上主義者)として知られるアルゼンチンのミレイ大統領は2023年の大統領就任時に中国を共産主義の「暗殺者」と呼び、対中関係の見直しを示唆していたが、実際にはミレイ政権の1年目にアルゼンチンは大豆やリチウムなどの対中輸出が15%も増加した。
本来は米国の同盟国であるアルゼンチンのこうした実利重視の政策転換は、トランプ米大統領の対南米政策の課題を浮き彫りにしている。豊富な天然資源を抱える南米諸国では近年、コモディティー(1次産品)ブームを追い風に中国の影響力が高まっている。
一方でトランプ政権は脅しや関税をテコに貿易相手国に対して米国の利益になるような条件を飲ませようとしている。既にコロンビア、パナマ、メキシコに譲歩を求めたほか、ブラジルも鉄鋼に対する新たな関税措置の標的となっている。
しかしロイターが取材した政府関係者や外交筋、貿易専門家など6人は、巨大でなお拡大している中国の貿易面での優位性によりトランプ氏の政策は効果がそがれていると指摘した。これは経済上のライバルが世界的に増える中で米国の懲罰的なアプローチが限界に達しつつあることを示している。
昨日、東証発表の文書。気になるところを少し
— 杉山賢次 (@BUSHIDO_Asset) 2025年2月19日
1枚目:最近IPO時だけKPIを出して、上場後すぐに非開示がここ数年、常態化している
2枚目:だいたいの投資家は最低でも時価総額100以上はほしい共通認識
3枚目:MBO直前の意図的な悪いニュースなど牽制
4枚目:「うちIRやってませんから」にメス入るか pic.twitter.com/lHtYTJBMoE
TSMC, 台湾と米国のコスト差は大きい、顧客に転嫁されるだろう
— パウロ (@paurooteri) 2025年3月4日
以下、引用
半導体サプライチェーンは、米国への投資による減価償却費は米国工場の方が約26%高く、人件費も66%上昇していると指摘した。フル稼働の条件下では、米国工場が生産するウエハー1枚あたりのコスト格差は28.3%に達する。…