金融ショックがひとまず収まって楽観モードが戻ってきたように見えるが、ショートカバーに押し上げられた一時的な上昇で終わるかもしれない。与信厳格化による余波が思いもよらないところから生じる蓋然性があることを意識しておきたい。とくに連邦債務上限問題からのデフォルト懸念が気がかりだ。6月5日までの猶予措置までに目処がつかなければブラックスワン級のインパクトになりうる。
国内のコロナ禍の反動増減の影響は市場の評価に織り込まれたと判断してい良い頃合いかもしれない。直近の懸念材料はゼロゼロ融資の期限切れによる倒産増リスクがソフトランディングするかどうか。
チェック事項
- ロシアのウクライナ侵攻から1年経過
- 4月から電力料金の値上げ
- 物価高でインフラ工事不成立が増加
- TOPIX指数が±10%のボックス相場
- ゼロゼロ融資返済期限前倒産の増加
- 4月から人的資本開示がスタート
- 対中国の半導体製造装置の輸出規制
キーワード
熊本TSMC、技能職人材不足、スキルのミスマッチ、人的資本開示、中古車、自動車アフターマーケット、車載半導体、老朽化マンション、クレーンゲーム、電力問題、新興国の社会情勢、エアコン、フロンガス規制、物流建設業の2024年問題、人手不足倒産、価格決定力の優位性、漬物クライシス、ウクライナの土壌汚染、AIのシンギュラリティ、不動産在庫の顕著化、輸入物価とCPIのタイムラグ、人材サービス企業のリストラ、コマツの減産、温暖化から生存限界の酷暑へ、連邦債務上限問題
2023年度のトレード方針
- キャッシュ比率は状況に応じて資産の1割~4割の間でコントロール
- 資産の1割の範囲内でショートトレード&実験トレード
- 100円~150円のレンジを越えてくる事態になれば一段と強い警戒モードに
- 自分がショートしやすいと思った銘柄は他の人もそう思っているのでプレミアムがないと想定しておく
2023年銘柄選別基準
- 将来的にROE30%超(製造業は15%超)が期待できるか?
- すでにROE30%超(製造業は15%超)の銘柄はそれを継続することができるか?
- 直近EPSの10倍以上の成長余地はあるか?
- 直近売上の10倍以上の成長余地はあるか?(成長株のみ)
- トップラインで2割超成長を継続可能か?(成長株のみ)
- 1人あたりの売上を維持つつ従業員数を増やしているか?
- 一時的なネガティブ要因(グリッチ)で評価が下がっているか?
- 非連続の成長期待要因(カタリスト)が株価に反映されていないか?
- マクロの逆境下でも根を伸ばし続けて強靭になれるイメージがあるか?
- 経営者のバランス感覚を評価する。ポジティブ100%の経営者は外す
みずほリサーチ&テクノロジーズ : みずほ経済・金融ウィークリー
米国:金融システム不安は継続する一方、世論は預金保護に前向き
中小銀行の貸出ウェイトが大きい商業用不動産市場への影響に要警戒
欧州:企業景況感と消費者心理を金融不安が下押しする懸念
新興国:米欧金融不安の波及は現状限定的。輸出依存・経常赤字国に注意
日本:2月の消費は引き続き力強さに欠ける状況
企業の「資金不足」が拡大。堅調な設備投資意欲が背景
CPIは政府の物価高対策が下押しも、賃上げ率上振れが押し上げ要因に
金融市場:ドル円相場は1ドル=130円台に。今後も円高に振れやすいと予想
アングル:電池にかすり傷で全損も、エコには程遠いEV保険事情 | ロイター
[ロンドン/デトロイト 20日 ロイター] - 電気自動車(EV)の多くは、事故によりバッテリーに軽微な損傷があっただけでも修理や評価が不可能になる。保険会社としては、たいした距離も走っていない車両を全損扱いとせざるをえない。すると、保険料は高くなり、EV移行のメリットも薄れてしまう。
そして今、一部の国ではこうしたバッテリーパックが廃棄物として山をなしている。これまで報道されていなかったが、想定されていた「循環型経済」にとって手痛い落し穴だ。
「EV購入の動機は持続可能性だ」と語るのは、自動車リスク情報を扱う調査会社サッチャム・リサーチの調査ディレクター、マシュー・エブリー氏。「だが、ちょっとした衝突事故でもバッテリーを廃棄せざるをえないとすれば、EVはあまりサステナブルとは言えない」
バッテリーパックのコストは数万ドルに達することがあり、EV価格に占める比率は50%にも至る。交換するのは不経済である場合も多い。
現役で走っている自動車のうち、EVが占める比率はごく小さく、業界全体としてのデータ把握は難しい。だが、走行距離の少ない「ゼロ・エミッション」車が軽微な損傷で廃車になってしまう傾向は強まりつつある。バッテリーパックを「構造材」にする、つまり車両ボディーの一部とするというテスラの判断は、製造コストの削減につながる一方で、そうしたコストを消費者や保険会社に転嫁するリスクがある。
テスラは、保険会社によるテスラ製車両の償却措置について特に問題があるとはしていない。だがイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は1月、第三者賠償責任保険会社が設定する保険料が「不当に高すぎる場合が見られる」と述べている。
テスラなどの自動車メーカーがもっと修理しやすいバッテリーパックを製造し、バッテリーセルに関するデータに第三者がアクセスできるようにしない限り、EV販売台数が増えるにつれて、ただでさえ高い保険料は上昇を続け、衝突事故後に廃車となる高年式車は増えていく――これが保険会社や自動車産業の専門家の見方だ。
「事例は増えつつあり、バッテリーの扱いが重要なポイントになる」と語るのは、アリアンツ・センター・フォー・テクノロジーでマネージングディレクターを務めるクリストフ・ラウターワッサー氏。同氏の指摘によれば、EV用バッテリーの製造においては化石燃料車の製造よりもはるかに多くの二酸化炭素が排出され、何千マイルも走行しなければ、そうした追加の排出量は相殺できないという。
英国には今のところEV用バッテリーのリサイクル施設がない。サイネティックとしては、廃車となった車から外したバッテリーをコンテナに保管している。ヒル氏の推測では、サイネティックがドンカスター工場で保管している数百個のEV用バッテリーパック、そしてハイブリッド車用バッテリーパック数千個に内蔵されたセルのうち、少なくとも95%は無傷で、再利用が望ましいという。
現状でも、ほとんどのEVの保険料は他の車よりも高くなっている。
オンライン保険比較サイト「ポリシージーニアス」によれば、2023年、米国におけるEVの月払い保険料は平均206ドルで、化石燃料車に比べて27%高くなっている。
また金融情報サイト「バンクレート」は、「ちょっとした事故でもバッテリーパックに損傷が生じれば(略)、この重要部品の交換コストが1万5000ドル(約200万円)を超える可能性がある」ことを米国の保険会社は把握している、と述べている。
テスラの「モデル3」のバッテリー交換コストは最大2万ドル。同車種の小売価格は約4万3000ドルだが、資産価値が下がるペースは早い。
トラック運転手不足で緊急対策、近く関係閣僚会議=岸田首相 | ロイター
[東京 27日 ロイター] - 岸田文雄首相は27日の参院予算委員会で、2024年に導入される時間外労働の規制で懸念されるトラックの運転手不足に対して、輸送・物流関連の関係閣僚会議を近く開催し、緊急対策を取りまとめると述べた。公明党の宮崎勝議員への答弁。
宮崎氏はトラック運転手の残業上限規制が導入され、人手不足が懸念される物流の2024年問題について、首相の見解を質問した。
首相は「物流の停滞が懸念されている2024年問題の解決に向けて政府として迅速に対応する必要がある」と指摘。「政府として適正な取引を阻害する取引是正や物流デジタル化、モーダルシフト(トラックから鉄道・船舶利用への転換)など輸送の効率化に取り組む」と強調した。
荷主側のさらなる取り組みを促すため、不適切な商慣行の是正に向けた「規制的措置の導入に向けて関係省庁で連携した対応を加速化する」とし、「近日中に新たな関係閣僚会議を開き、緊急に取り組む施策を取りまとめる」と述べた。
コンタクトレンズ価格1割高 ウクライナ侵攻で視界不良 - 日本経済新聞
使い捨てコンタクトレンズの平均販売価格が5年で1割ほど上昇している。ウクライナ危機の影響で、一部製品の生産や輸送に支障が出ているようだ。新型コロナウイルス禍からの経済再開の動きで外出機運が高まり、コンタクトレンズを使う動きが活発化した影響などが重なり需給が締まった。スマートフォンやパソコンなどに触れる機会が拡大し「疲れ目」への悩みが深まるなか、弱り目にたたり目の価格上昇となっている。
2040年 担い手不足1100万人余の予測 都道府県別・業種別の人手不足は | NHK | ニュース深掘り
いわゆる団塊ジュニア世代が65歳以上となる2040年に、企業などで働く担い手の不足が全国で1100万人余りにのぼるという予測が明らかになりました。地方と東京の格差が深刻になっています。
▽介護サービス
不足率は25.3%。
最も高く、『週4日必要なデイサービスに3日しか通えない』という状況が起こり得ると指摘しています。▽商品の販売
不足率は24.8%。
特に地方の小売店は無人化によるサービスの低下が避けられないとしています。▽ドライバー
不足率は24.2%。
配送が著しく遅れる地域が生まれると予測しています。▽建築・土木工事
不足率は22%。
インフラの維持管理や災害後の復旧に遅れが出る可能性が高いとしています。
マスク氏ら、チャットGPT超す強力なAIモデルの訓練停止呼び掛け - Bloomberg
イローン・マスク氏やカリフォルニア大学バークレー校(UBC)のスチュアート・ラッセル教授(コンピューターサイエンス)、アップル共同創業者のスティーブ・ウォズニアック氏らAI(人工知能)専門家や業界のリーダーが、強力なAIモデルの訓練を一時停止するよう開発者に呼び掛けている。
1100人を超す業界関係者は共通の安全基準の策定を可能にするために、オープンAIが開発した「ChatGPT(チャットGPT)」を動かす最新バージョンより強力なAIシステムの訓練の6カ月間停止を求める嘆願書に署名した。
米生命未来研究所はウェブサイトに掲載した公開文書で、「この数カ月、AIの研究所は、その開発者さえも理解や予測、確実な制御ができない、これまでにない強力なデジタル脳を開発・展開するために制御不能な競争にまい進している」と指摘。「強力なAIシステムは、プラスの効果があり、リスクは管理可能だとわれわれが確信できる場合にのみ開発されるべきだ」とした。
ここ数カ月の間に、電子メールの作成や芸術作品の創作など人間と変わらない作業をするAIプロジェクトが相次ぎ発表された。マイクロソフトが支援するオープンAIは今月、冗談を言ったり司法試験などのテストに受かるチャットGPTの最新バージョン、GPT-4を発表した。
世界で一番安全とされる資産、SVB破綻後はあまり安全に見えない - Bloomberg
このところの米銀行危機をじっくり見てみると、2008年の金融危機と同じ枠組みで考えている人には、その原因は驚きかもしれない。シリコンバレー銀行(SVB)を破綻させたのは、資金のない住宅購入者への危険なローンではなく、地球上で一番安全な証券と見なされている米国債への投資だった。
政府への貸し付けである米国債は、一つの重要な意味合いにおいては100%安全だ。米連邦債務上限問題の最悪の展開を別にすれば、米政府は必ず返済する。しかしSVBが保有していた米国債の多くの償還期日は何年も先だった。問題は償還までの間の米国債の価格変動だ。超低金利時代に購入された期間の長い米国債には常に、金利が上昇し始めれば中途売却での価格下落リスクがある。金利は過去1年に大きく上昇した。
米連邦準備制度はインフレ抑制のため数十年ぶりのハイペースで利上げをし、政策金利をゼロ%付近から4.75-5%のレンジに引き上げた。債券価格は金利と逆方向に動くため、米国債価格は利上げに伴い下落していった。これは満期前に売りたい人以外にとっては直ちに問題になることではない。
不運なことに、SVBは売りたいグループの一員だった。同行の顧客の多くは連邦預金保険対象の上限である25万ドル(約3300万円)を超える額を同行に預けており、不安になって預金を引き出し始めた。SVBはこれに応じるため保有する米国債と政府機関保証の住宅ローン担保証券を、大きな損失を出して売るしかなかった。同行は数日のうちに破綻した。
元パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)チーフエコノミストのポール・マカリー氏は「われわれはいつも米国債を世界で一番安全な資産と呼ぶ」が、「それは信用力という観点からであって、資産価格の安定性という観点からではない。そこには大きな違いがある」と説明した。
債券の世界にはこのリスクを測定する指標がある。デュレーションだ。デュレーションは金利上昇に伴い債券価格がどの程度下落するかを示す。デュレーションが長いほど値下がりは大きい。
デュレーションは非常に重要な数字なので、経験の浅いトレーダーも注意深く見守っている。ボケ・キャピタル・パートナーズのキム・フォレスト最高投資責任者(CIO)は、SVBのバンカーらが自分たちが冒しているデュレーションリスクを見抜けなかったことが理解できないと言う。「金利予測に照らして、こうした債券に何が起こるか分かってしかるべきなのに、どうなっていたのか。頭のいいはずのシリコンバレー(銀行)の人間がそれを理解して計算できなかったのだろうか」と話した。
FRBはSVBの破綻後、銀行の流動性を確保するため数十億ドルを貸し付けた。価値が目減りした米国債やその他の債券を担保に有利な条件で資金を借りられる「バンク・ターム・ファンディング・プログラム」も設定した。FRBは新型コロナウイルスのパンデミック(大流行)期に発行された低利回りの債券を既に数兆ドル保有しているが、さらなる金利リスクを銀行システムから引き取ることになる。
ただ、連邦準備制度は同時に金融引き締めも続けている。22日には再び0.25ポイントの利上げをした。それでも、債券価格は上昇した。市場は米金融当局が政策を転換すると考えているからだ。これが実現しなければ、米国債は一段と値下がりし、これを保有している銀行がさらなるトラブルに見舞われることになる。
24兆ドル規模の米国債市場の問題は金利上昇だけではない。もう一つは、かねて懸念されている流動性の問題だ。流動性とはつまり、いかに容易に売買できるかだ。多くの金融機関や企業が、米国債市場が円滑に機能することに依存している。
過去1カ月の恐怖と不透明感は記録的なボラティリティーを引き起こし、利回りがここ40年で最も変動した債券もあった。JPモルガン・チェースのストラテジストは、米国債の1日の取引高が過去最高の1兆5000億ドルに達する日もある中で、流動性は「かなり危うい状態にある」と3月中旬に顧客向けリポートで指摘した。
流動性問題にはさまざまな説明がある。米国債発行残高は2019年末に比べ7兆ドル余り増えており、市場の規模は銀行やディーラーが秩序ある状態を維持する能力を超えてしまったという説が広く信じられている。08年の金融危機後に導入された規制によって、売買を円滑にするのに十分な債券をディーラーが保有できなくなったという見方も多い。FRBと財務省、他の監督当局は何年も、修正に向け作業をしているが変化は遅い。
さらに連邦債務上限問題がある。党派間の対立で上限引き上げの政治的合意に至らない可能性がある。政府支出を賄う財務省の方策が尽きる前に合意ができなければ、米政府債務のデフォルト(債務不履行)という前代未聞の事態となり、米国債に依存する世界の金融システムを大混乱に陥れる恐れがある。11年には最後の瞬間で合意に至ったが、S&Pグローバル・レーティングは数日後に米国債の格付けを最上位の「AAA」から引き下げた。
債務上限引き上げをめぐり米議会で繰り返される争いが、米国債に代わる安全な富の保管場所への関心が強まっている一因かもしれない。
ウォール街が目を背けるリスク、米連邦債務上限と政府デフォルト
また、ロシア中央銀行の資産を凍結するなど米政府が積極的に金融制裁を活用することももう一つの理由だ。大量の米国債を保有する一部の国々は、われわれにもいつか起こり得ることだろうか、と考え始めた。
米国債に代わる安全資産とされるのは、昔ながらの金(ゴールド)や商品バスケットに連動する投資口、中国人民元など他の大国の通貨だ。しかしいずれも、米国債よりも優れているという説得力のある議論は難しい。
リスクフリー資産を求める多くの米国投資家にとって、現金が最良の選択肢のように見受けられる。FDICの保険対象となる上限の25万ドルより少額の資金なら銀行預金が安全だ。しかし個人も機関投資家もここ数カ月は高利回りの米マネー・マーケット・ファンド(MMF)など他の選択肢を模索している。MMFは最近、週間資金流入額がパンデミック初期以来の高水準を記録した。
こうしたファンドは米国債に大量に投資するが、期間が非常に短い債券のため金利リスクはほとんどない。金利が上昇すればロールオーバーを続けて投資家に新たな高い金利を支払うことが可能だ。
タンス預金にさよなら、個人にうれしい選択肢登場-ゴールドマンからも
米国債市場のボラティリティーがさらにどの程度高まるのか、その結果として金融システムにどの程度のダメージが及ぶのかは大方、米金融当局次第だ。米連邦準備制度はこれまで何かが壊れる前に大きな政策転換をしたという実績には乏しいことが示されている。SVBは今回のサイクルでの「壊れた例の1号」だ。
マカリー氏は1980年代の米貯蓄貸付組合(S&L)危機を振り返る。当時は小規模な住宅ローン会社が、現在銀行のバランスシート上に積み上がっているのと同じ種類のデュレーションリスクを一因に破綻した。今回の米利上げペースはそれ以降で最速だと同氏は指摘。当時はボルカーFRB議長がインフレと闘っていた。
インド、酷暑再来なら生存の限界に近づく恐れ-2月に既に記録的暑さ - Bloomberg
世界で最も人口の多い国になると見込まれているインドは、一段と強力な熱波に見舞われることが増えており、人間の生存の限界に近づいている恐れがある。
インドでは1901年以来最も暑い2月となり、気象当局は今後数週間に気温はさらに上昇すると予測している。このため、農作物への広範な被害や長時間の停電を引き起こした昨年の記録的な熱波が再来するとの懸念が強まっている。
気温がセ氏50度まで上昇すればどんな状態でも耐え難いが、人口14億人のインドでは、人が密集した都市を離れられず、風通しの良い住宅やエアコンを利用できない人々にとって、被害はより深刻なものとなっている。
レディング大学の気候科学者で、インドの気象パターンを研究しているキーラン・ハント氏は「人間にとって熱ストレスは、気温と湿度が組み合わさって起きる」と説明。「インドはサハラ砂漠のような同じぐらい暑い場所よりも湿度が高いのが一般的だ。これは発汗の効果が低下するか、もしくは効果が全くないことを意味する」と指摘する。
このためインドでは、気温と相対湿度を組み合わせた「湿球温度」によって人体への熱ストレスをより正確に測定できるとされている。世界銀行が昨年11月に発表した報告書では、インドは世界で初めて湿球温度が生存可能な水準の上限である35度を超える場所の一つになる可能性があると警告している。
熱波で高い気温が長期化すれば、死者の増加につながる傾向がある。インドではここ数十年の急激な人口増加を受け、この傾向がさらに強まっている。
(危険なのは)インドのバックグラウンド温度が既に非常に高いことだ。例えば、昨年5月に地球上でインド北部に匹敵する気温となっている場所は、サハラ砂漠とアラビア半島内陸部の一部のみだが、いずれも人口密度が非常に低い。インドではバックグラウンド温度が既に40度超と極めて高いため、少しの上昇でも人間の生存の限界に近づく可能性が高い。
インド社会には幅広い影響がある。熱波が長期化すると、広い地域で土壌が著しく乾燥する。農業への影響は言うまでもないが、1カ月後のモンスーンの到来にも影響を及ぼし得る。農業や水の安全保障に悪影響を与えるだけでなく、大雨がそれを吸収しきれない乾燥した土壌を直撃し、局所的な洪水につながる可能性もある。
モンスーン前の異常な暑さは、特に農業や建設業など屋外での労働生産性の低下のほか、冷房需要の増加による電力網への負担や温室効果ガス排出の増加に関連している。また、熱中症など一般的な健康リスクにも関連しており、特に子どもや高齢者、低所得者層への影響が大きい。
東証、PBR1倍割れ1800社に改善策の開示を要請 - 日本経済新聞
東京証券取引所は、PBR(株価純資産倍率)が1倍を下回る上場企業に対し、株価水準を引き上げるための具体策の開示を求める。直近で1倍割れは約1800社ある。企業に資本コストや株価を意識した経営を定着させる狙いがある。
東証プライム市場と同スタンダード市場に上場する全約3300社に対し、資本コストや市場での評価を認識するよう要請する。特にPBRが1倍を下回る場合には、1倍を下回る要因の分析、改善のた...
倒産ラッシュ到来 借入金が返せない、物価高が重荷 - 日本経済新聞
コロナ禍で経済活動が停滞した2020〜21年は、多くの企業が売り上げ減少などで経営が悪化したにもかかわらず、経営破綻は目立たなかった。帝国データバンクがまとめたこの間の倒産件数は例年の約3割少ない月当たり500件前後と、歴史的な低水準まで下落。実質無利子・無担保で融資を受けられる「ゼロゼロ融資」や、既存の債務の返済を猶予する「特例リスケジュール支援」など、政府が手厚い支援策を打ったためだ。
ただ、22年になると支援を受けても将来展望が見えずに事業継続を諦めるケースが顕在化。倒産件数は22年4月に増加に転じた。23年2月の企業倒産件数は前年同月比で34%増で、10カ月連続で前年同月を上回っている。増加期間ではリーマン・ショック後で最長だ。
帝国データバンクの上西伴浩情報統括部部長は「融資の返済本格化に加え、22年末から、インフレや人件費の高騰など企業にとって厳しい環境が続いている」と指摘する。
例えば、西日本を中心に宅配ピザチェーンを展開するシカゴピザ(大阪府茨木市)は3月中旬に事業停止し自己破産の申請準備に入った。食材コストと人件費の高騰、出店資金の借入金が重荷となったもようだ。建設業のユービーエム(東京・江戸川)は投資用マンション・ビルの工事で急成長したが、コロナ禍の間に資金繰りが悪化し2月に東京地裁に破産を申請した。
足元で目立つのは、個人事業主や資本金1000万円未満の企業が、5000万円未満の負債で行き詰まる小規模零細企業の倒産だ。そのなかには、ゼロゼロ融資を受けたが、返済期日前に事業継続を断念するケースが多数混じっているとみられる。
ゼロゼロ融資は、コロナ禍で苦境に陥った企業を支援する目的で20年にスタートした制度で、金融機関に支払う利子を公的機関が補塡し、返済できなかった時は信用保証協会が肩代わりするという内容だ。融資総額は22年9月末の融資終了時点で計43兆円にのぼり、23年に返済開始の山場をむかえる。
帝国データバンクによると、「コロナ融資後」倒産は着実に増加しており、2月までの22年度累計数は既に前年度比で1.8倍になった。融資額が回収できない、いわゆる焦げ付きに当たるコロナ融資喪失総額は368億円(推計)だ。
多くの中小企業を悩ませ、倒産の理由にもなっているのが「後継者難」だ。全国の企業の社長平均年齢は毎年上昇しており、70代以上も3割を超える。東京商工会議所が22年に行ったアンケートでは、「後継者を決めていないが、事業は継続したい」企業は35.8%で、「既に後継者を決めている」企業の25.9%を上回った。
帝国データバンクによると、「後継者難」による倒産は毎年度400件以上起きている。その多くが、代表者が病気もしくは死亡し、そのまま事業が立ち行かなくなる事例だ。日本M&Aセンターホールディングスの三宅卓代表取締役社長は「中小企業は社長自身の技術力や人脈が事業に非常に重要だ。60歳になった段階で、一度事業承継について考えてほしい」と話す。
一方、後継者候補がいる場合に事業承継の壁になっているのが、株式の譲渡だ。贈与や相続で渡す場合でも税負担がかかり、株式を後継者が購入する場合でも資金が必要となる。
政府は18年から10年間の期間限定で、「事業承継税制」を大幅に緩和した。贈与税は先代の経営者が亡くなると免除になる。贈与された場合は相続税の対象だが、納税は猶予され、その次の世代まで経営を引き継ぐと、猶予されていた相続税は最終的に免除となる。承継計画を24年3月までに提出する必要があるが、認知度の低さがネックになっている。
後継者の確保以外に東商などが力を入れ、近年増えている事業承継の方法が、M&A(合併・買収)だ。事業承継・引継ぎ支援センターの中小M&Aの実施件数は21年度に1514件と、5年前と比べて3倍以上になった。
仕入れ価格の上昇を転嫁できず収益が悪化し破綻するケースも急増いている。帝国データバンクの調査では22年度の「物価高倒産」の件数は2月まで396件にのぼり、前年度比約3倍になる見込み。直近の23年2月では53件と過去最多を更新した。
2月に事業を停止した住宅建設のリーベンホーム(札幌市)は、木材価格の高騰が響き、材料費の支払いができなくなった。昨年12月、東京地裁に自己破産を申請した新電力のシナジアパワー(東京・台東)は、燃料コスト増による卸電力価格の高騰に悩まされた。製麺業のクマガイフーズ(秋田県大仙市)は小麦などの原料高に耐えられず、3月に破産手続きに入った。
2月の消費者物価指数(CPI、2020年=100)は変動の大きい生鮮食品を除く総合指数103.6と前年同月比で3.1%上昇。物価高に消費者は身構え、今後、財布のひもを一段と締める可能性が高い。結果として、価格転嫁ができない零細企業、とりわけ生活に身近な衣食住の品目を扱う企業が一段の苦境に立たされることになる。
実際、業種別で倒産が増えているのが運輸業や飲食関係、建設業だ。2月には、お好み焼き・焼き鳥チェーンのダイナミクス(東京・中央)が東京地裁で破産手続きの開始決定を受けた。負債額は約107億円で、コロナ禍では最大の飲食店倒産となった。運輸業は、特にトラック輸送でガソリン価格の上昇が直結している。建設業は資材コストの負担が重い。生コンクリートの流通価格はコロナ前と比べて約3割高、型枠に使う合板は5割高の水準だ。これらの業種は価格転嫁率も低い。22年2月の流通段階別の転嫁状況の調査では、「運輸・倉庫」は20%、「飲食店」は32.5%と、全業種平均の39.9%を下回る。
運輸業と建設業は、人件費上昇につながる「2024年問題」も抱える。2業種は19年に働き方改革関連法が施行された際に、時間外労働の上限規制適用が猶予されていたが、その猶予が24年3月に終了する。これまで長時間労働で補ってきた企業は、人手確保のための人件費の上昇は免れない。様々なコスト高が積み重なっていくことを踏まえ、傷口が広がる前に事業整理を選択する動きも出てきそうだ。
フィンランドのNATO加盟確定 トルコ議会が批准 - 日本経済新聞
【ブリュッセル=辻隆史、イスタンブール=木寺もも子】フィンランドの北大西洋条約機構(NATO)加盟が確定した。トルコ議会が30日に加盟を承認し、全30の加盟国の批准手続きが完了した。フィンランドはロシアのウクライナ侵攻を受けて長年の中立政策を転換する。
同時申請したスウェーデンに先行して欧米の集団防衛体制に加わることが決まった。事務手続きを経て31カ国目として正式加盟する。
半導体製造装置23品目規制 中国への輸出、先端品難しく - 日本経済新聞
政府は31日、先端半導体の製造装置など23品目を輸出管理の規制対象に加えると発表した。中国向けの輸出が難しくなる。米国がスーパーコンピューターや人工知能(AI)に使う先端半導体の製造装置などで中国向けの輸出を厳しく制限しており、日本も足並みをそろえる。各国の産業競争力や安全保障を左右する半導体分野で世界の分断が深まってきた。
日本は外為法に基づき、武器など軍事向けに転用できる民生品の輸出を管理している。政府は外為法の省令を改正し、23品目を輸出管理の対象に追加する。輸出に経済産業相の事前の許可が必要になる。
省令改正に向けて31日にパブリックコメントの募集を始めた。改正は5月の公布、7月の施行を予定する。
省令改正では中国など特定国・地域を規制対象として名指ししない。西村康稔経産相は同日の閣議後の記者会見で「特定の国を念頭に置いたものではない」と話した。ただ、追加される23品目は友好国など42カ国・地域向けを除いて個別許可が必要になり、中国などへの輸出は事実上難しくなる。
23品目には極端紫外線(EUV)関連製品の製造装置や、記憶素子を立体的に積み上げるエッチング装置などが含まれる。演算用のロジック半導体の性能では、回路線幅10〜14ナノ(ナノは10億分の1)メートル以下の先端品の製造に必要な装置だ。
東京エレクトロンやSCREENホールディングス、ニコンなど10社程度が影響を受けるとみられる。西村氏は企業業績への打撃に関し「全体としての影響は限定的だ」と説明した。
米国が2022年10月に導入した規制は14〜16ナノメートル以下のロジック半導体の製造などに必要な装置や技術を米商務省の許可制にした。事実上、輸出を禁じることになった。米国は半導体製造装置に強みをもつ日本とオランダにも同調するよう求めてきた。日本は「独自措置」(経産省幹部)としつつも足並みをそろえる。
オランダのスフレイネマーヘル外国貿易・開発協力相は、半導体の輸出規制について「夏前にも輸出制限の対象を広げる」と話す。オランダは既にEUV露光装置の輸出を制限しており、最先端ではない深紫外線(DUV)露光装置の一部も輸出規制の対象に加える考えだ。
世界の半導体製造装置市場は首位の米アプライドマテリアルズ、2位のオランダのASML、3位の東京エレクトロンなどが競り合う。日本とオランダが米国と協調することで、先端半導体分野で民主主義陣営と中国との分断が鮮明になる。
日本が新たな規制を導入すれば中国が対抗措置をとるリスクがある。中国は22年12月、世界貿易機関(WTO)に対し、米国の先端半導体を巡る対中輸出規制が不当だと提訴した。
「人的資本」の開示スタート 企業も独自指標などで工夫 - 日本経済新聞
働く人が持つ能力を資本としてとらえ、付加価値を生む源泉とする「人的資本」の考え方が広がっています。上場企業は今春から、人材投資や育成の現状を有価証券報告書(有報)で情報開示することが義務付けられました。企業と働き手にはどのような影響が出るのでしょうか。
人的資本とは従業員のスキルや知識といった、数字では表しにくい競争力を指します。2023年3月期以降の決算から、女性管理職比率、男性の育児休業取得...
本日、輸出貿易管理令(昭和24年政令第378号)の一部を改正する政令が閣議決定。令和5年4月7日(金曜日)より実施。
— 🇯🇵虎の巻 Toranomaki 🇺🇦 (@toranomaki11) 2023年3月31日
輸出禁止措置の追加対象貨物の概要↓
→中古自動車や自動車部品も入れてほしかった….富山の自動車輸出業車、軍用としても使えるし、何十万台もロシアに中古車輸出したらあかんやろ💢 pic.twitter.com/mPEwoaV5o6
新たにロシアに対する輸出規制が発表されたけど『三輪車などの車輪付きおもちゃ』や『フィギュアなどの人形』も輸出が禁止される可能性が高い - Togetter